顎ニキビのしこりが治らない原因と治療法|繰り返さないための対策

10秒でわかるこの記事の要約
  • 鏡を見るたび、顎にできた硬いしこりが気になる。触ると痛みがあり、メイクでも隠しきれない。治ったと思ったらまた同じ場所にできてしまう――顎ニキビのしこりに悩まされている方は、決して少なくありません。
  • 顎にできるしこりニキビは、通常のニキビとは異なり、炎症が皮膚の深い層まで及んでいるため、市販薬やセルフケアだけでは改善が難しいことがあります。放置すると色素沈着や瘢痕として跡が残り、さらに繰り返すという悪循環に陥ることも少なくありません。
  • 本記事では、顎ニキビにしこりができる原因、しこりの種類と症状、美容皮膚科での治療法、そして繰り返さないための予防策まで、医学的根拠に基づいて詳しく解説いたします。今まさに悩んでいる方、何度も繰り返して諦めかけている方に、具体的な解決への道筋をお示しします。

目次

顎ニキビのしこりとは?

顎ニキビのしこりは、医学的には「硬結ニキビ」や「嚢腫性ニキビ」と呼ばれる、炎症が深部まで及んだ重症のニキビです。皮膚表面の赤みや膿だけでなく、皮膚の奥に硬いしこりが残るのが特徴です。

しこりニキビの基本概要

しこりニキビは、毛穴の中で炎症が激しく進行し、皮膚の真皮層や皮下組織にまでダメージが及んだ状態です。炎症によって組織が破壊され、その修復過程で線維化(コラーゲンが過剰に生成されて硬くなること)が起こり、硬いしこりとして残ります。

通常のニキビとの違い

通常のニキビ(白ニキビや黒ニキビ、赤ニキビ)は、皮膚の比較的浅い層で起こります。一方、しこりニキビは炎症が深く進行しているため、以下のような違いがあります。

  • 触ると硬い: 皮膚の奥に硬いしこりを感じます
  • 痛みが強い: 触ると鈍い痛みがあり、時には何もしなくても痛むことがあります
  • 治りにくい: 通常のニキビより治癒に時間がかかります(数週間〜数ヶ月)
  • 跡が残りやすい: 色素沈着や瘢痕として跡が残る可能性が高くなります
  • 繰り返しやすい: 同じ場所に何度もできる傾向があります

なぜ顎にできやすいのか

顎は、顔の中でも特にしこりニキビができやすい部位です。その理由は以下の通りです。

  • 皮脂腺が多い: 顎周りは皮脂腺が密集しており、皮脂が過剰に分泌されやすい部位です
  • ホルモンの影響を受けやすい: 顎は男性ホルモン(アンドロゲン)の影響を特に受けやすく、ホルモンバランスの乱れがニキビにつながります
  • 摩擦が多い: マスク、手で触る癖、頬杖など、物理的な刺激を受けやすい部位です
  • 毛穴が詰まりやすい: 顎は角質が厚くなりやすく、毛穴が詰まりやすい環境です

しこりが残る仕組み

ニキビの炎症が深部まで及ぶと、真皮層や皮下組織が破壊されます。体はこの損傷を修復しようとしますが、その過程で過剰にコラーゲンが生成され、線維化が起こります。この線維化した組織が、触ると硬いしこりとして残るのです。

また、炎症が長引くほど、周囲の組織へのダメージが広がり、しこりが大きくなったり、複数のしこりが癒合したりすることもあります。

顎ニキビにしこりができる原因【重要】

顎ニキビのしこりができる原因は複合的です。以下の要因が絡み合って発症します。

ホルモンバランスの乱れ

最も大きな原因の一つが、ホルモンバランスの乱れです。特に、男性ホルモン(アンドロゲン)の影響が強い顎周りは、以下のような状況でニキビができやすくなります。

  • 生理周期: 生理前には黄体ホルモンが増加し、皮脂分泌が活発になります
  • ストレス: ストレスはコルチゾールというホルモンを増やし、これがアンドロゲンの分泌を促進します
  • 睡眠不足: 睡眠が不足すると、ホルモンバランスが崩れやすくなります
  • 更年期: エストロゲンの減少により、相対的にアンドロゲンの影響が強くなります

皮脂分泌の過剰

ホルモンの影響やストレス、食生活などにより、皮脂が過剰に分泌されると、毛穴が詰まりやすくなります。顎は特に皮脂腺が多いため、皮脂過剰の影響を受けやすい部位です。

毛穴の詰まり

皮脂や古い角質、メイク汚れなどが毛穴に詰まると、アクネ菌の繁殖を招きます。顎は角質が厚くなりやすく、ターンオーバーが乱れると毛穴詰まりが悪化します。

アクネ菌の増殖と炎症の深化

毛穴に詰まった皮脂を栄養源として、アクネ菌(Cutibacterium acnes)が増殖します。アクネ菌が増えると炎症が起こり、さらに炎症が深部まで及ぶと、しこりニキビへと進行します。

触る癖・マスクの摩擦

無意識に顎を触る癖がある方や、長時間マスクを着用する方は、物理的な刺激によってニキビが悪化しやすくなります。摩擦は皮膚のバリア機能を低下させ、炎症を悪化させます。

間違ったスキンケア

  • 過剰な洗顔: 1日に何度も洗顔したり、ゴシゴシ擦ったりすると、皮膚のバリア機能が低下します
  • 保湿不足: 「ニキビ肌は保湿不要」という誤解から保湿を怠ると、乾燥により皮脂が過剰に分泌されます
  • 刺激の強い化粧品: アルコール濃度の高い化粧水やスクラブ洗顔は、炎症を悪化させることがあります

食生活

以下のような食習慣は、ニキビを悪化させる可能性が指摘されています。

  • 糖質の過剰摂取: 血糖値の急上昇は、インスリンやIGF-1の分泌を促し、皮脂分泌を増やします
  • 乳製品: 乳製品に含まれるホルモンが、ニキビを悪化させる可能性があります
  • 脂質の多い食事: 揚げ物やファストフードの摂りすぎは、皮脂分泌を促進します

内臓の不調

  • 胃腸の不調: 便秘や腸内環境の悪化は、体内に老廃物が蓄積し、肌トラブルにつながります
  • 婦人科系の問題: 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの疾患は、ホルモンバランスを乱し、顎ニキビの原因になります

遺伝的要因

ニキビのできやすさには、遺伝的な要素もあります。両親がニキビ体質だった場合、子供もニキビができやすい傾向があります。

顎ニキビのしこりの種類と症状

顎にできるしこりには、いくつかの種類があり、それぞれ治療法が異なります。

硬結ニキビ(硬いしこり)

特徴: 皮膚の奥に硬いしこりがあり、赤みや腫れを伴います。触ると痛みがありますが、膿は見えません。

原因: 炎症が真皮層まで及び、組織が破壊されて線維化が起こった状態です。

治療: 抗生物質やステロイド注射、レーザー治療などが有効です。

嚢腫ニキビ(膿が溜まったしこり)

特徴: 皮膚の深部に膿が溜まった大きなしこりです。赤く腫れ上がり、強い痛みを伴います。

原因: 炎症が非常に深く進行し、皮下組織に膿瘍(膿の袋)が形成された状態です。

治療: 抗生物質の内服、場合によっては切開排膿が必要です。

肥厚性瘢痕・ケロイド(治った後のしこり)

特徴: ニキビが治った後、赤く盛り上がったしこりが残ります。時間が経っても消えず、かゆみを伴うこともあります。

原因: 炎症による組織の破壊が大きく、修復過程でコラーゲンが過剰に生成された結果です。

治療: ステロイド注射、レーザー治療、場合によっては外科的切除が必要です。

粉瘤との見分け方

顎のしこりは、ニキビではなく粉瘤(アテローム)という別の疾患である可能性もあります。

  • ニキビのしこり: 赤みや痛みがあり、時間とともに小さくなったり、膿が出たりします
  • 粉瘤: 皮膚と同じ色か少し青みがかった色で、中心に黒い点(開口部)があることがあります。痛みはないことが多く、徐々に大きくなります

判断が難しい場合は、皮膚科で診察を受けることをおすすめします。

セルフケアの限界と医療機関受診のタイミング

セルフケアで対処できるケース

軽度の顎ニキビであれば、以下のセルフケアで改善する可能性があります。

  • 正しい洗顔と保湿
  • 生活習慣の改善(睡眠・食事・ストレス管理)
  • 市販のニキビ治療薬(過酸化ベンゾイル、アダパレンなど)

医療機関を受診すべきサイン

以下のような場合は、セルフケアだけでは改善が難しいため、皮膚科や美容皮膚科の受診をおすすめします。

  • しこりが大きい、または痛みが強い
  • 同じ場所に繰り返しできる
  • 市販薬を1〜2ヶ月使っても改善しない
  • 複数のしこりニキビがある
  • ニキビ跡(色素沈着・瘢痕)が気になる
  • メイクで隠せないほど目立つ

放置するリスク

しこりニキビを放置すると、以下のようなリスクがあります。

  • 色素沈着: 炎症後に茶色いシミが残ります
  • 瘢痕(クレーター): 皮膚が陥没したり、盛り上がったりします
  • 悪化: 炎症がさらに深部に及び、治療が困難になります
  • 精神的ストレス: 見た目への悩みから、対人関係や仕事に影響が出ることもあります

早期治療の重要性

しこりニキビは、早期に適切な治療を受けることで、跡を残さずに治せる可能性が高まります。「そのうち治るだろう」と放置せず、気になったら早めに受診することが大切です。

美容皮膚科での治療法【最重要セクション】

美容皮膚科では、顎ニキビのしこりに対して、様々な治療法が提供されています。症状や原因に応じて、複数の治療法を組み合わせることが一般的です。

炎症を抑える治療

抗生物質(内服・外用)

効果: アクネ菌の増殖を抑え、炎症を鎮めます。

使用方法: 内服薬(ミノマイシン、ルリッドなど)と外用薬(ダラシンゲルなど)があります。

期間: 通常2〜3ヶ月程度の使用が推奨されます。

費用: 保険適用で1ヶ月あたり1,000〜3,000円程度。

ステロイド注射

効果: 炎症を強力に抑え、しこりを柔らかくします。

使用方法: しこりニキビに直接ステロイドを注射します。

期間: 効果は数日で現れます。必要に応じて2〜4週間後に再注射します。

費用: 自費で1回5,000〜15,000円程度。

注意点: 注射部位が陥没するリスクがあるため、経験豊富な医師に依頼することが重要です。

イソトレチノイン(重症例)

効果: 皮脂分泌を強力に抑制し、重症ニキビを改善します。

使用方法: 内服薬として、数ヶ月間服用します。

費用: 自費で月3〜5万円程度。

注意点: 副作用(乾燥、催奇形性など)があるため、医師の管理下で使用します。

しこりを改善する治療

ケミカルピーリング

効果: 古い角質を除去し、毛穴の詰まりを解消します。ターンオーバーを促進し、ニキビ跡の改善にも効果が期待できます。

使用方法: サリチル酸やグリコール酸などの薬剤を塗布します。

治療回数: 2〜4週間ごとに5〜10回程度。

ダウンタイム: 軽い赤みや皮むけが2〜3日程度。

費用: 1回5,000〜20,000円程度。

レーザー治療

フラクショナルレーザー: 皮膚に微細な穴を開け、コラーゲンの再生を促します。しこりや瘢痕の改善に有効です。

CO2レーザー: 盛り上がったニキビ跡を削り取ります。

治療回数: 1〜3ヶ月ごとに3〜5回程度。

ダウンタイム: 赤みや腫れが3〜7日程度。

費用: 1回20,000〜100,000円程度。

ダーマペン・ポテンツァ

効果: 微細な針で皮膚に穴を開け、創傷治癒を促進します。ニキビ跡やしこりの改善に効果的です。

治療回数: 1ヶ月ごとに3〜5回程度。

ダウンタイム: 赤みや腫れが2〜3日程度。

費用: 1回20,000〜50,000円程度。

注射治療

ステロイド注射のほか、硬いしこりにヒアルロン酸分解酵素を注射して柔らかくする方法もあります。

切開排膿

対象: 膿が溜まった嚢腫ニキビ。

方法: 局所麻酔をして、メスで切開し膿を排出します。

ダウンタイム: 1週間程度。

費用: 保険適用で数千円程度。

根本治療

ホルモン治療

ホルモンバランスの乱れが原因の場合、ホルモン療法が有効です。スピロノラクトン(抗アンドロゲン薬)の内服などが行われます。

ピル処方

低用量ピルは、ホルモンバランスを整え、生理前のニキビを予防します。婦人科や美容皮膚科で処方されます。

漢方薬

体質改善を目的として、当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸などの漢方薬が処方されることがあります。

腸内環境改善

腸内環境の乱れがニキビの原因になっている場合、プロバイオティクス(善玉菌)のサプリメントや食事指導が行われます。

治療の流れ

美容皮膚科での顎ニキビ治療は、一般的に以下のような流れで進みます。

初診

まず、問診票に現在の症状、既往歴、使用している薬などを記入します。

問診・診察

医師がニキビの状態を詳しく診察します。しこりの大きさ、数、痛みの程度、炎症の深さなどを評価します。また、生活習慣やスキンケア方法についても質問されます。

治療方針決定

診察結果に基づいて、最適な治療法が提案されます。複数の選択肢がある場合は、それぞれのメリット・デメリット、費用、ダウンタイムなどを説明してもらえます。

治療開始

決定した治療を開始します。内服薬や外用薬の処方、レーザーやピーリングなどの施術が行われます。

経過観察

定期的に通院し、治療効果を確認します。必要に応じて治療内容を調整します。

メンテナンス

ニキビが改善した後も、再発予防のために定期的なメンテナンス治療を受けることが推奨されます。

信頼できるクリニック選びのポイント

  • ニキビ治療の専門性が高い
  • 複数の治療法を提案してくれる
  • カウンセリングに十分な時間をかけてくれる
  • リスクや副作用について正直に説明してくれる
  • 継続的なフォロー体制が整っている

治療期間と効果の出方

炎症を抑えるまでの期間

抗生物質やステロイド注射により、炎症は通常1〜2週間で落ち着き始めます。ただし、完全に炎症が治まるまでには1〜2ヶ月かかることもあります。

しこりが柔らかくなるまでの期間

しこりが柔らかくなり、目立たなくなるまでには、数ヶ月から半年程度かかることが一般的です。レーザー治療やダーマペンを併用すると、改善が早まる可能性があります。

完全に治るまでの期間

個人差がありますが、適切な治療を続ければ、多くの場合3〜6ヶ月で大きな改善が見られます。ただし、瘢痕として残ったしこりの場合は、1年以上の治療が必要になることもあります。

個人差が生じる理由

  • しこりの大きさや深さ
  • 炎症の程度
  • 治療開始のタイミング
  • 生活習慣の改善度
  • 体質や肌質

治療中の注意点

  • 医師の指示通りに薬を使用する
  • 自己判断で治療を中断しない
  • 生活習慣の改善を並行して行う
  • 効果を焦らず、継続する

顎ニキビのしこりを予防する方法

治療と並行して、以下の予防策を実践することで、再発を防ぐことができます。

正しいスキンケア

洗顔

  • 1日2回、朝晩の洗顔を基本とする
  • ぬるま湯を使用し、優しく洗う
  • 洗顔料はしっかり泡立て、擦らずに泡で洗う
  • すすぎ残しがないよう、丁寧にすすぐ

保湿

  • 洗顔後はすぐに保湿する
  • 油分の少ない、ノンコメドジェニック(ニキビができにくい)処方の化粧品を選ぶ
  • セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分配合の化粧水や美容液を使用する
  • 乳液やクリームは軽いテクスチャーのものを選ぶ

クレンジング

  • メイクはその日のうちにしっかり落とす
  • オイルタイプよりも、ジェルやミルクタイプのクレンジングがおすすめ
  • 顎周りは特に丁寧にクレンジングする

ホルモンバランスを整える生活習慣

質の良い睡眠

  • 毎日7〜8時間の睡眠を確保する
  • 22時〜2時の成長ホルモン分泌時間帯に眠ることを意識する
  • 就寝前のスマホやパソコンの使用を控える

ストレス管理

  • 適度な運動(ウォーキング、ヨガなど)
  • 趣味やリラックスできる時間を持つ
  • 深呼吸や瞑想などのリラクゼーション法

食生活の改善

積極的に摂りたい食品

  • ビタミンB群(豚肉、納豆、卵など):皮脂分泌を調整
  • ビタミンC(柑橘類、ブロッコリーなど):抗酸化作用、コラーゲン生成
  • ビタミンE(ナッツ類、アボカドなど):抗酸化作用
  • 亜鉛(牡蠣、牛肉、カボチャの種など):皮膚の修復を促進
  • 食物繊維(野菜、海藻、きのこなど):腸内環境を整える
  • 発酵食品(ヨーグルト、味噌、納豆など):腸内環境を整える

控えたい食品

  • 糖質の多い食品(お菓子、ジュース、白米など)
  • 脂質の多い食品(揚げ物、ファストフードなど)
  • 乳製品(人によっては悪化要因になる)

触らない習慣づけ

無意識に顎を触る癖がある方は、意識的にやめるようにしましょう。どうしても触ってしまう場合は、手を清潔に保つことが重要です。

マスクによる摩擦対策

  • 肌に優しい素材(シルク、コットンなど)のマスクを選ぶ
  • マスクのサイズを適切にし、顎への圧迫を避ける
  • 長時間着用する場合は、定期的にマスクを外して肌を休ませる
  • マスクの下にメイクを厚塗りしない

定期的な皮膚科受診

ニキビが落ち着いた後も、定期的に皮膚科でチェックしてもらうことで、再発を早期に発見し、対処できます。

やってはいけないNG行動

以下の行動は、しこりニキビを悪化させるため、絶対に避けてください。

自分で潰す・針で刺す

最もやってはいけない行動です。自己判断で潰すと、炎症が悪化し、瘢痕として跡が残る可能性が非常に高くなります。また、感染症のリスクもあります。

過剰な洗顔・ピーリング

1日に何度も洗顔したり、毎日ピーリングしたりすると、皮膚のバリア機能が低下し、かえってニキビが悪化します。

刺激の強い化粧品の使用

アルコール濃度の高い化粧水やスクラブ洗顔、ピーリング石鹸の過度な使用は、炎症を悪化させます。

ファンデーションの厚塗り

ニキビを隠そうとファンデーションを厚塗りすると、毛穴が詰まり、悪化する原因になります。

市販薬の長期使用

市販のニキビ治療薬を1〜2ヶ月使っても改善しない場合は、自己判断で使い続けず、医療機関を受診してください。

放置

「そのうち治るだろう」と放置すると、炎症が深部まで及び、治療が困難になります。気になったら早めに受診しましょう。

顎ニキビ治療法の比較

美容皮膚科で行われる主な治療法を比較してみましょう。

項目 ケミカルピーリング レーザー治療 ダーマペン
主な効果 角質除去、毛穴詰まり解消、ターンオーバー促進 コラーゲン再生、瘢痕改善、しこり改善 コラーゲン生成促進、瘢痕改善
しこり改善度 軽度〜中程度 中程度〜高い 中程度〜高い
治療回数 5〜10回(2〜4週間ごと) 3〜5回(1〜3ヶ月ごと) 3〜5回(1ヶ月ごと)
ダウンタイム 軽い赤み・皮むけ2〜3日 赤み・腫れ3〜7日 赤み・腫れ2〜3日
料金目安(1回) 5,000〜20,000円 20,000〜100,000円 20,000〜50,000円
痛み ピリピリ感(軽度) 輪ゴムで弾かれる程度(麻酔使用可) チクチク感(麻酔クリーム使用)

ステロイド注射

  • 主な効果: 炎症抑制、しこりを柔らかくする
  • しこり改善度: 高い
  • 治療回数: 1〜3回(2〜4週間ごと)
  • ダウンタイム: ほぼなし
  • 料金目安: 5,000〜15,000円/回
  • 痛み: 注射時の痛み(軽度)

切開排膿

  • 主な効果: 膿の排出、痛みの緩和
  • 対象: 嚢腫ニキビ
  • 治療回数: 1回
  • ダウンタイム: 1週間程度
  • 料金目安: 保険適用で数千円
  • 痛み: 局所麻酔使用

しこりが残ってしまった場合の対処法

炎症が治まった後も、しこりが瘢痕として残ってしまった場合の治療法です。

瘢痕・ケロイド治療

赤く盛り上がったしこりには、以下の治療が有効です。

  • ステロイド注射: しこりを柔らかくし、盛り上がりを抑えます
  • シリコンジェルシート: 自宅でのケアとして、瘢痕部分に貼ることで改善を促します
  • 圧迫療法: 特殊なテープやサポーターで圧迫することで、ケロイドの成長を抑えます

フラクショナルレーザー

皮膚に微細な穴を開け、コラーゲンの再生を促進します。硬いしこりや陥没したクレーターの改善に効果的です。

サブシジョン

特殊な針で皮膚の深部の線維化した組織を切り離し、陥没を持ち上げる治療です。クレーター状のニキビ跡に有効です。

外科的切除

大きなケロイドや肥厚性瘢痕の場合、外科的に切除し、縫合する方法もあります。術後は再発予防のためにステロイド注射などを併用します。

改善までの期間と現実的な期待値

瘢痕として残ったしこりの治療には、通常半年から1年以上の時間がかかります。完全に元の状態に戻すことは難しい場合もありますが、適切な治療により、目立たなくすることは可能です。

繰り返す顎ニキビの根本原因へのアプローチ

何度も繰り返す顎ニキビには、根本的な原因があることが多く、それを見つけて対処することが重要です。

ホルモン検査の重要性

繰り返すニキビの背景に、ホルモンバランスの乱れが隠れていることがあります。以下のような検査を受けることで、原因が明確になる場合があります。

  • 血液検査(男性ホルモン、女性ホルモン、甲状腺ホルモンなど)
  • 超音波検査(多嚢胞性卵巣症候群のチェック)

婦人科との連携

生理不順や生理前のニキビ悪化が顕著な場合は、婦人科と連携した治療が効果的です。低用量ピルやホルモン療法により、根本から改善できる可能性があります。

胃腸科との連携

慢性的な便秘や下痢、胃腸の不調がある場合は、消化器科での検査や治療が必要です。腸内環境の改善がニキビの改善につながることもあります。

栄養療法

血液検査で栄養素の不足が判明した場合、サプリメントや食事指導により補うことができます。特に、ビタミンB群、亜鉛、鉄などの不足はニキビに影響します。

生活習慣の見直し

睡眠、ストレス、食事、運動など、生活習慣全般を見直すことが、長期的なニキビ改善には不可欠です。

長期的な管理の必要性

顎ニキビは、一度治っても再発しやすい特徴があります。定期的な皮膚科受診と、継続的なセルフケアにより、再発を予防することが重要です。

20代後半〜40代女性のよくある悩み

「何度治療しても繰り返す」

繰り返す顎ニキビは、ホルモンバランスや生活習慣など、根本的な原因が解決されていない可能性があります。皮膚科だけでなく、婦人科や内科との連携した治療を検討しましょう。

「メイクで隠しきれない」

しこりニキビは盛り上がりがあるため、メイクで隠すのが難しいですよね。炎症を抑える治療を優先し、メイクは最小限にすることをおすすめします。どうしても隠したい場合は、グリーンの下地で赤みを抑え、コンシーラーで部分的にカバーしましょう。

「人と会うのが辛い」

ニキビによる見た目の悩みは、精神的なストレスにもつながります。このストレスがさらにニキビを悪化させる悪循環に陥ることもあります。一人で抱え込まず、医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。

「仕事に集中できない」

痛みや見た目の悩みで仕事に集中できないという声も多く聞かれます。早期に医療機関を受診し、痛みや炎症を抑える治療を受けることで、QOL(生活の質)が向上します。

「いつまで続くのか不安」

「この状態がずっと続くのでは」という不安は、多くの方が抱えています。適切な治療と生活習慣の改善により、多くの場合、数ヶ月で改善が見られます。焦らず、継続的に治療を受けることが重要です。

「跡が残るのでは?」

早期に適切な治療を受ければ、跡を残さずに治せる可能性が高まります。また、万が一跡が残っても、レーザー治療などで改善できる方法があります。

クリニック選びの基準

顎ニキビの治療を受けるクリニックを選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。

ニキビ治療の専門性

ニキビ治療を専門としている、または得意としているクリニックを選びましょう。ウェブサイトに症例写真や治療実績が掲載されているかを確認してください。

複数の治療法を提案してくれるか

一つの治療法だけでなく、患者の状態に応じて複数の選択肢を提示してくれるクリニックが理想的です。

根本原因へのアプローチがあるか

表面的な治療だけでなく、ホルモンバランスや生活習慣など、根本原因にアプローチしてくれるクリニックを選びましょう。

継続的なフォロー体制

ニキビ治療は継続が重要です。定期的に経過を見てくれる、相談しやすい体制があるかを確認しましょう。

料金の明確さ

治療費用が明確に提示されているか、追加費用が発生する可能性について事前に説明があるかを確認してください。

“安さ基準で探さない”ことの重要性

価格の安さだけで選ぶと、十分な治療が受けられなかったり、経験の浅い医師に当たったりするリスクがあります。費用対効果を考え、信頼できるクリニックを選ぶことが、結果的に最も経済的です。

FAQ(よくある質問)

Q1. 顎ニキビのしこりはなぜできるのですか?

A. 炎症が皮膚の深い層(真皮層や皮下組織)まで及び、組織が破壊されることでしこりができます。主な原因は、ホルモンバランスの乱れ、皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖などです。

Q2. しこりニキビは自然に治りますか?

A. 軽度の場合は、時間とともに自然に小さくなることもありますが、深い炎症を伴うしこりは、適切な治療なしでは完全に治りにくく、跡が残る可能性が高くなります。早めの受診をおすすめします。

Q3. しこりニキビを潰してもいいですか?

A. 絶対に潰さないでください。自己判断で潰すと、炎症が悪化し、瘢痕として跡が残る可能性が非常に高くなります。また、感染症のリスクもあります。

Q4. 何科を受診すべきですか?

A. 皮膚科または美容皮膚科を受診してください。繰り返す場合や、ホルモンバランスの乱れが疑われる場合は、婦人科との連携も検討されます。

Q5. 治療期間はどのくらいかかりますか?

A. 個人差がありますが、炎症を抑えるまでに1〜2ヶ月、しこりが目立たなくなるまでに3〜6ヶ月程度かかることが一般的です。瘢痕として残った場合は、さらに長期の治療が必要になることもあります。

Q6. 治療は保険適用されますか?

A. 抗生物質の処方や切開排膿などの基本的な治療は保険適用です。ただし、レーザー治療、ダーマペン、ケミカルピーリングなどの美容医療は自費診療となります。

Q7. しこりを早く治す方法はありますか?

A. ステロイド注射が最も即効性があり、数日で炎症としこりを軽減できます。ただし、医師の判断が必要です。また、早期治療開始が最も重要です。

Q8. 市販薬で治りますか?

A. 軽度のニキビには市販薬も有効ですが、しこりを伴う重症ニキビには、市販薬だけでは不十分なことが多いです。1〜2ヶ月使っても改善しない場合は、医療機関を受診してください。

Q9. ホルモンバランスが原因なのでしょうか?

A. 顎ニキビの多くは、ホルモンバランスの乱れが関与しています。生理前に悪化する、ストレスで悪化する、という場合は、ホルモンの影響が考えられます。血液検査で確認することも可能です。

Q10. ピルは効果がありますか?

A. 低用量ピルは、ホルモンバランスを整え、特に生理前のニキビを予防する効果が期待できます。ただし、効果が現れるまでに数ヶ月かかることがあります。婦人科や皮膚科で相談してください。

Q11. 食べ物で改善できますか?

A. 食生活の改善は、ニキビの予防と改善に役立ちます。ビタミンB群、C、E、亜鉛を含む食品を積極的に摂り、糖質や脂質の多い食品は控えめにすることが推奨されます。ただし、食事だけで重症ニキビを治すのは難しいため、医療機関での治療と併用することが重要です。

Q12. マスクとの関係はありますか?

A. マスクによる摩擦や蒸れは、ニキビを悪化させる要因になります。肌に優しい素材のマスクを選び、定期的にマスクを外して肌を休ませることが推奨されます。

Q13. 跡は残りますか?

A. 早期に適切な治療を受ければ、跡を残さずに治せる可能性が高まります。ただし、炎症が深く進行した場合や、放置した場合は、色素沈着や瘢痕として跡が残ることがあります。跡が残った場合も、レーザー治療などで改善できます。

Q14. なぜ繰り返すのですか?

A. ホルモンバランスの乱れ、生活習慣、ストレスなど、根本的な原因が解決されていない場合、治療で一時的に治っても再発します。継続的なケアと、根本原因へのアプローチが重要です。

Q15. 完治しますか?

A. 適切な治療と生活習慣の改善により、多くの場合、顎ニキビは改善します。ただし、「完治」という概念は難しく、ホルモンの影響を受けやすい体質の場合は、継続的な管理が必要になることもあります。

Q16. 痛みがひどい場合はどうすればいいですか?

A. 強い痛みがある場合は、炎症が激しく進行している可能性があります。我慢せず、すぐに皮膚科を受診してください。抗生物質やステロイド注射により、速やかに痛みを軽減できます。

Q17. 自宅でできるケアはありますか?

A. 正しい洗顔と保湿、十分な睡眠、バランスの良い食事、ストレス管理、触らないことなどが基本です。ただし、重症のしこりニキビには、自宅ケアだけでは限界があるため、医療機関での治療と併用することが重要です。

まとめ

顎ニキビのしこりは、炎症が深部まで及んだ重症のニキビであり、通常のニキビよりも治療に時間がかかります。しかし、適切な治療を早期に開始すれば、跡を残さずに改善できる可能性は十分にあります。

最も重要なのは、「我慢せず、早めに医療機関を受診すること」です。市販薬やセルフケアで改善しない場合は、専門家の力を借りることで、確実に改善への道が開けます。

また、繰り返す顎ニキビには、ホルモンバランスや生活習慣など、根本的な原因が隠れていることが多いため、表面的な治療だけでなく、根本からのアプローチが必要です。

一人で悩まず、信頼できる医師と共に、あなたに最適な治療法を見つけてください。顎ニキビのしこりは、決して治らない悩みではありません。適切な治療と継続的なケアにより、必ず改善の道は開けます。

この記事の監修者

藤井 靖成

藤井 靖成

大阪・梅田 藤井クリニック院長

総合内科内科専門医であると同時に消化器内視鏡専門医・指導医として従事。
胃がん大腸がんに対する内視鏡検査・手術を通して磨いた技術と豊富な経験を活かしながら、美容外科の技術も習得し約400,000例の美容外科施術経験を積む。また、皮膚額をベースとするスキンケア医療に取り組む。
「楽しく生きる」をコンセプトに、自身が理想とする医療を追い求めるため、2007年5月 大阪・梅田に「藤井クリニック」を開院。
開院以来、美容整形手術ではない、自然な綺麗さや若返りを目的としたメスを使わない美容医療を提供し、約20年間で180000例以上の実績を持つ。

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略歴

智弁学園和歌山中学・高等学校卒
和歌山県立医科大学卒(平成6年3月)
和歌山県立医科大学付属病院 第二内科学教室入局
日赤和歌山医療センター 麻酔科
国保日高総合病院 内視鏡室 室長
大手美容外科 勤務
亀田総合病院 研修
東京大学医学部付属病院 研修
藤井クリニック開院・院長就任(平成19年5月)
藤井クリニック大阪駅前開院(平成23年5月)


認定・所属学会

日本内科学会 認定医・専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本肝臓学会専門医
総合内科専門医
日本消化器がん検診学会 会員
日本超音波医学会 会員
日本美容外科学会 会員
日本美容外科医師会 会員
日本美容皮膚科学会 会員
日本抗加齢医学会 会員
日本抗加齢美容医療学会 会員
日本レーザー医学会 会員


認定資格一覧
  • サーマクール認定医
  • ウルセラ認定医
  • クールスカルプティング認定医
  • ライポソニックス認定医
  • レスチレーン認定医
  • マクロレーン認定医
  •  
  • アラガンバイクロス認定医
  • アラガンハイラクラス認定医
  • ボトックスビスタ認定医

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