公開日: 2026年02月18日
ヒアルロン酸注射の血管塞栓リスクとは?症状・対処法・安全なクリニックの選び方
- 10秒でわかるこの記事の要約
- ヒアルロン酸注射は、メスを入れることなく顔の輪郭を整え、加齢によるボリュームロスをしなやかに補正できる、現代の美容医療において信頼の厚い施術のひとつです。その即効性と高い可逆性から、多忙なライフスタイルをお持ちの30代後半〜50代後半の女性を中心に、長く選ばれ続けてきました。
- しかし、その恩恵を真に享受するためには、施術に伴うリスクを正確に理解しておくことが不可欠です。なかでも「血管塞栓(血管閉塞)」は、発生頻度こそ稀ながら、重篤な転帰をたどる可能性のある合併症として、美容医療の専門家の間で特に注意喚起されています。適切な技術を持つ医師のもとで施術を受け、万が一の初期症状を見逃さなければ、そのリスクは大幅に低減できます。一方で、対応が遅れた場合には、組織壊死や視覚障害といった取り返しのつかない結果を招くこともあることを、医学的な事実として誠実にお伝えしなければなりません。
- 本記事では、血管塞栓とはどのような状態か、どの部位で起こりやすいか、どのような症状が現れるか、そして万が一の際の対処法と、安全な施術のために求めるべきクリニック・医師の基準について、医療的な根拠に基づき丁寧に解説します。正確な知識を持つことが、あなた自身の最善の選択につながります。
目次
- 1 ヒアルロン酸注射における血管塞栓とは?
- 2 血管塞栓が起こりやすい部位とリスクが高い注入エリア
- 3 血管塞栓の初期症状・見逃してはいけないサイン
- 4 血管塞栓が起きた場合の対処法と治療
- 5 信頼できるクリニック・医師が実施している安全対策
- 6 メリット・デメリットと血管塞栓リスクの全体像
- 7 ヒアルロン酸と他施術の安全性比較
- 8 施術を受ける前に確認すべきこと
- 9 30代後半〜50代後半女性のよくある不安と正しい知識
- 10 クリニック選びの基準
- 11 よくある質問(FAQ)
- 11.1 Q1. ヒアルロン酸注射による血管塞栓は、どのくらいの確率で起きますか?
- 11.2 Q2. 施術後に皮膚が白くなったら、血管塞栓ですか?
- 11.3 Q3. 血管塞栓が起きたら、どうすればいいですか?
- 11.4 Q4. ヒアルロニダーゼは、どのクリニックにも必ずありますか?
- 11.5 Q5. 鼻へのヒアルロン酸注射は、特に危険ですか?
- 11.6 Q6. カニューレとニードル、安全性の面ではどちらが優れていますか?
- 11.7 Q7. 血管塞栓のリスクが比較的低い注入部位はありますか?
- 11.8 Q8. 持病・既往歴・服用中の薬がある場合、リスクは高まりますか?
- 11.9 Q9. 血管塞栓と内出血の違いは何ですか?
- 11.10 Q10. 安全なクリニックを見分けるための、最も重要なポイントを教えてください。
- 11.11 Q11. ヒアルロン酸注射の効果はどのくらい持続しますか?
- 11.12 Q12. 施術後のダウンタイムはどのくらいですか?
- 11.13 Q13. 複数部位に同時施術する場合、リスクは高まりますか?
ヒアルロン酸注射における血管塞栓とは?
血管塞栓(血管閉塞)の定義とメカニズム
血管塞栓とは、注入されたヒアルロン酸が血管内に入り込む、または血管を外側から圧迫することによって、血流が遮断・阻害される状態を指します。医学的には「血管閉塞(Vascular Occlusion)」とも呼ばれ、ヒアルロン酸注射を含むフィラー治療における最も重篤な合併症のひとつとして位置づけられています。
血管塞栓が発生するメカニズムは、主に二つあります。ひとつは、注射針がヒアルロン酸を直接血管内に誤注入してしまうケース(動脈内注入)。もうひとつは、周囲組織に注入されたヒアルロン酸が隣接する血管を圧迫し、血流を妨げるケースです。特に前者では、注入されたヒアルロン酸が血管内を逆行性に移動し、眼動脈や網膜動脈に到達する可能性があり、最悪の場合、視力障害や失明に至ることが国内外の医学的報告で示されています。
なぜ「稀でも重篤な合併症」と言われるのか
血管塞栓の発生頻度は、適切な技術と解剖学的知識を持つ医師が施術を行う限り、統計的には稀とされています。しかし、一旦発症した場合の重篤度が高く、かつ初動対応の速度によって転帰が大きく左右されることから、美容医療における合併症の中でも特に警戒が必要なものとして認識されています。
発症後、早期にヒアルロニダーゼ(溶解酵素)による溶解処置が行われれば、多くのケースで改善が期待できます。しかし対応が遅れた場合、組織の壊死や永続的な視覚障害のリスクが高まります。この「時間との戦い」という性質が、血管塞栓を他の軽微な副作用と一線を画す理由です。
血管塞栓が起こりやすい部位とリスクが高い注入エリア
顔面の血管は解剖学的に複雑な走行をしており、部位によって血管塞栓リスクの高さが大きく異なります。注入部位ごとのリスクを正しく理解することが、施術を検討する上での重要な前提知識となります。
| 注入部位 | リスクレベル | 注意が必要な理由 | 施術難易度 |
|---|---|---|---|
| 鼻(鼻根・鼻背・鼻尖) | 非常に高い | 鼻背動脈・眼動脈との解剖学的連絡が多く、逆行性塞栓による視覚障害・失明リスクがある | 高度専門技術を要する |
| 眉間・鼻根部 | 非常に高い | 滑車上動脈・眼動脈との近接。皮下組織が薄く血管誤穿刺リスクが高い | 高度専門技術を要する |
| こめかみ | 高い | 浅側頭動脈が走行し血流が豊富。大量注入は特に注意が必要 | 専門技術を要する |
| 目の周囲(涙袋・目の下) | 高い | 眼動脈との解剖学的連絡があり、眼窩内への波及リスクがある | 専門技術を要する |
| 唇・口周囲 | 中程度 | 上唇動脈・下唇動脈が走行。適切な深さと層への注入管理が重要 | 標準的な注意が必要 |
| ほうれい線 | 中程度 | 顔面動脈の走行ルートに注意。適切な深さの管理が求められる | 標準的な注意が必要 |
| 顎・フェイスライン | 比較的低い | 主要血管との距離は比較的あるが、正中部での注意は必要 | 比較的安全性が高い |
| 頬・中顔面 | 中程度 | 顔面動脈・眼窩下動脈の走行に注意。深さによってリスクが変わる | 標準的な注意が必要 |
特に鼻・眉間への注入は、美容医療の中でも最高度の解剖学的知識と精緻な注入技術が求められるエリアです。施術を検討される際は、当該部位における十分な症例経験を持つ医師を選ぶことが、安全性を担保する上で最も重要な要因となります。
血管塞栓の初期症状・見逃してはいけないサイン
発症直後に現れる皮膚症状
血管塞栓が発生した場合、多くのケースで施術中〜施術直後から何らかの兆候が現れます。以下のような症状が見られた際は、自己判断で様子を見ることなく、速やかに施術担当医または医療機関に連絡することが不可欠です。
- 皮膚の白化・蒼白化:注入部位またはその周囲の皮膚が急激に白くなる。これは血流遮断の典型的な初期サインです。
- 皮膚の変色(チアノーゼ・紫色化):血流障害が進行すると、皮膚が紫〜暗赤色に変色することがあります。
- 通常を超えた強い疼痛・灼熱感:施術時の通常の痛みを超えた、持続する強い痛みや灼けるような感覚が現れる場合があります。
- 皮膚の網目状変色(リベド様変化):毛細血管の血流障害に伴い、網目状・斑点状のパターンが皮膚に現れることがあります。
- 注入部位周囲の急激な腫脹:通常の術後腫れとは異なる、急激で局所的な腫れが生じることがあります。
時間経過による症状の変化
初期症状を見過ごすと、時間の経過とともに組織への血液供給が途絶え、皮膚壊死へと進行するリスクがあります。数時間〜数日後には、該当部位の皮膚が暗褐色から黒色へと変化し、潰瘍を形成することもあります。こうした状態に至ると、瘢痕形成のリスクが高まり、長期的な治療・修正が必要となる場合があります。
視覚症状への緊急対応(失明リスク)
鼻・眉間・こめかみへの注入後、以下の症状が現れた場合は、眼動脈・網膜動脈への塞栓の可能性が否定できない医療的緊急事態です。
- 視力の急激な低下または消失
- 視野の部分的な欠損
- 目の痛みや充血
- 光が見えにくい・ぼやけるなどの視覚異常
これらの症状は、発症から治療開始までの時間が転帰を決定的に左右します。「しばらく様子を見る」という判断は危険であり、施術後に少しでも視覚に異常を感じた場合は、即座に施術クリニックへの連絡と、眼科を含む医療機関への受診が必要です。
血管塞栓が起きた場合の対処法と治療
ヒアルロニダーゼによる溶解処置
ヒアルロン酸による血管塞栓が疑われる場合、最優先される治療はヒアルロニダーゼ(Hyaluronidase)の注入による溶解処置です。ヒアルロニダーゼはヒアルロン酸を分解する酵素製剤であり、塞栓の原因となっているヒアルロン酸を溶解することで、血流の再開を促します。
この処置は、症状が確認されてから可能な限り早く——理想的には数時間以内に——実施されることが重要とされています。塞栓発生から溶解処置開始までの時間が短いほど、組織壊死を防げる可能性が高くなります。そのため、ヒアルロニダーゼを院内に常備し、緊急時に即座に対応できる体制を持つクリニックを選ぶことは、安全な施術の必要条件のひとつです。
追加的な医療対応
ヒアルロニダーゼ投与に加え、症状の程度や発生部位に応じて、血管拡張薬の使用・温熱療法・マッサージによる血流促進・抗炎症処置などが並行して行われる場合があります。視覚症状を伴うケースでは眼科的な専門対応が必要となります。いずれの処置も、対応可能な設備・知識・医療連携体制を持つクリニックであることが前提となります。
信頼できるクリニック・医師が実施している安全対策
血管塞栓のリスクを最小限に抑えるためには、施術者の技術と知識、そしてクリニックの対応体制が決定的な役割を果たします。以下は、安全性を担保するために信頼できるクリニック・医師が備えているべき要件です。
- 解剖学的知識に基づく注入技術: 顔面の血管走行を熟知し、血管が密集するエリアを避け、適切な深さ・速度・量で注入する高度な技術。単に「注入できる」ではなく、「なぜその部位にそのアプローチで注入するか」を説明できる医師が理想です。
- カニューレの適切な使用: 先端が丸いカニューレは、鋭利なニードルと比較して血管穿刺のリスクを低減できる場合があります。部位・目的に応じた器具の使い分けが、安全性に影響します。
- 逆血確認(アスピレーション)の実施: 注入前に注射器を引いて血液の逆流がないことを確認するアスピレーション操作。完全な担保とはなりませんが、血管内誤注入の早期発見に寄与する手技のひとつです。
- ヒアルロニダーゼの院内常備: 緊急時に即座に対応できるよう、溶解酵素を常時在庫していること。これは安全性の観点から必須の条件であり、初診のカウンセリングで確認すべき事項のひとつです。
- 緊急時対応フローの整備: 塞栓発生時の処置手順、連携医療機関の確保、スタッフへの緊急対応教育が体系的に整備されていること。
- 丁寧な問診と禁忌事項の確認: 凝固異常・血管系の既往歴・アレルギー・服用中の薬剤など、リスクを高める因子を事前に洗い出す、徹底した問診体制。
これらの安全対策は、価格競争とは無縁の「医療の質」への本質的な投資です。施術価格のみに注目するのではなく、クリニックの安全体制と医師の専門性こそを選択基準の中心に据えることが、ご自身を守ることに直結します。
メリット・デメリットと血管塞栓リスクの全体像
ヒアルロン酸注射の主なメリット
- 外科的切開を伴わず、身体への侵襲が少ない
- ダウンタイムが比較的短く、多忙なライフスタイルに対応しやすい(部位・個人差あり)
- ボリュームの補正・輪郭の修正を即時かつ自然に行いやすい
- 効果が気に入らない場合、ヒアルロニダーゼで溶解・修正が可能(可逆性)
- 製剤の種類・硬度が豊富で、部位と目的に応じた選択が可能
- 施術当日から変化が確認できる即効性
主な副作用・合併症の全体像
| 症状・合併症 | 発生頻度 | 重篤度 | 主な対処法 |
|---|---|---|---|
| 内出血(멍) | 比較的よく見られる | 低い(自然消退) | 冷却・経過観察(通常1〜2週間で消退) |
| 腫れ・浮腫 | 比較的よく見られる | 低い(一時的) | 冷却・経過観察(数日〜1週間程度) |
| 左右差・凹凸 | 術者の技術に依存 | 中程度 | ヒアルロニダーゼによる溶解・修正注入 |
| チンダル現象(青白い透け) | 浅い層への注入で起こりやすい | 低い(外見的問題) | ヒアルロニダーゼによる溶解 |
| 感染・膿瘍 | 稀 | 中〜高い | 抗菌薬・必要に応じてドレナージ |
| 遅発性アレルギー・肉芽腫 | 稀 | 中程度 | 抗アレルギー薬・ステロイド・溶解処置 |
| 血管塞栓(血管閉塞) | 稀だが重篤 | 高い(組織壊死・失明の可能性) | ヒアルロニダーゼの緊急投与・医療機関への即時受診 |
ヒアルロン酸と他施術の安全性比較
| 施術名 | 主なリスク・副作用 | 血管塞栓リスク | 可逆性・対処可能性 |
|---|---|---|---|
| ヒアルロン酸注射 | 血管塞栓・内出血・腫れ・左右差・チンダル現象 | あり(部位による差が大きい) | ヒアルロニダーゼによる溶解が可能。可逆性が高い |
| ボトックス注射 | 筋肉の過剰弛緩・表情の不自然感・拡散 | 極めて低い | 効果は3〜6ヶ月で自然消退(溶解剤なし) |
| スレッドリフト(糸リフト) | 糸の違和感・感染・非対称・神経損傷 | 極めて稀 | 問題のある糸は除去手術が必要な場合あり |
| 脂肪注入(自家脂肪移植) | 吸収による不均一・感染・石灰化・脂肪塞栓 | あり(脂肪塞栓リスク) | 溶解剤なし。外科的対応が必要な場合あり |
| HIFU(超音波リフト) | 熱傷・神経炎症・照射後の一時的腫れ | なし | 多くは経過観察。重篤な場合は医療対応 |
ヒアルロン酸注射はフィラー系施術の中では可逆性が高い点が大きな特長ですが、血管塞栓リスクはゼロではありません。ボトックスやHIFUはその点でのリスクが非常に低い施術です。施術選択にあたっては、期待する効果とリスクプロファイルを担当医と十分に照らし合わせた上で判断されることをお勧めします。
施術を受ける前に確認すべきこと
カウンセリングで医師に確認すべき質問リスト
- 今回の注入部位における血管塞栓リスクについて、どのように評価されていますか?
- 使用する器具(ニードル/カニューレ)はどちらで、その選択理由を教えてください。
- 院内にヒアルロニダーゼは常備されていますか?
- 万が一、血管塞栓が疑われる症状が出た場合、どのような対応フローになっていますか?
- 緊急時に対応できる連携医療機関はありますか?
- この部位・この術式における施術経験・症例数はどのくらいですか?
- 私の体質・既往歴・服用薬を踏まえて、追加のリスクはありますか?
- アフターフォローの体制(施術後に相談できる窓口・時間帯)を教えてください。
クリニック選びの安全性チェックポイント
- 医師の専門資格(形成外科・皮膚科専門医、学会認定医など)の有無と取得経緯
- ヒアルロン酸注射の年間症例数と、高リスク部位(鼻・眉間)の専門経験の豊富さ
- ヒアルロニダーゼの院内常備と即時使用可能な体制
- 緊急時対応マニュアルの整備(スタッフへの周知含む)
- カウンセリングでのリスク説明の誠実さ・丁寧さ
- アフターフォロー体制(診療時間外の緊急連絡先の有無)
- 使用製剤の品質・承認状況の透明な開示
「安さを理由にクリニックを選ばない」というスタンスは、単なる価値観の問題ではなく、安全性の観点から極めて合理的な判断です。施術価格に差が生まれる背景には、使用製剤の品質・医師の専門性・安全体制への投資コストが反映されています。ご自身の健康と美容への投資として、医師の技術と対応体制こそを選択基準の軸に据えてください。
30代後半〜50代後半女性のよくある不安と正しい知識
「血管塞栓が怖くて受けられない」という不安に向き合う
血管塞栓のリスクを知って「やはり怖い」と感じることは、至極自然な反応です。しかし、そのリスクを正確に理解することと、施術を受けないこととは同義ではありません。適切な解剖学的知識と高度な注入技術を持つ医師のもとで施術を受けることで、血管塞栓のリスクを大幅に低減できることもまた、医学的な事実です。
重要なのは、リスクを回避するために施術そのものを遠ざけることではなく、リスクを適切にコントロールできる医師・クリニックを見極める判断力を持つことです。正確な情報をもとに担当医と十分なコミュニケーションをとり、納得した上で施術に臨むことが、安全で満足度の高い結果につながります。
「職場・家庭に支障をきたしたくない」という不安
血管塞栓は、万が一発症した場合、一定期間の通院・処置が必要となる可能性があります。そのため、重要なプレゼンテーション・会食・旅行などが控えている時期を避けてスケジューリングすることと、施術後の数日間の体調観察を可能にする日程設計が、社会的なリスクを最小化する実践的な対策です。
長期的なメンテナンスと安全管理の考え方
ヒアルロン酸の効果は永続的ではなく、製剤の種類・部位・個人の代謝速度によって異なりますが、一般的に6ヶ月〜2年程度を目安に効果が減弱していきます。定期的なメンテナンスを継続される場合は、同じ医師との継続的な関係を築き、顔の変化の経過を共有しながら施術を重ねていくことが、安全性と仕上がりの質の両立に寄与します。担当医が変わるたびにリスク評価と注入設計を一からやり直す必要がなく、体質・変化の経緯を熟知した医師によるケアが継続できることは、長期的な安全管理においても大きな意味を持ちます。
クリニック選びの基準
美容医療において、施術の質を決定する最も本質的な要素は「誰が施術を行うか」です。特にヒアルロン酸注射のように、医師の解剖学的知識と注入技術の差が安全性に直結する施術においては、クリニック選びはすなわち医師選びと同義です。
- 専門医資格と継続的な学術活動: 形成外科専門医・皮膚科専門医、あるいは日本美容外科学会等の認定を持つ医師は、一定の専門的トレーニングと倫理基準を経ていることの証明となります。学会発表・論文執筆など、継続的な学術活動を行っている医師は、最新の医学的知見と安全基準を常に更新しているとみなせます。
- 部位別の豊富な症例数: 特に鼻・眉間・目元など高リスク部位については、豊富な症例経験を持つ医師であることが重要な判断材料です。「症例数○○件以上」といった具体的な情報開示を行っているクリニックは、透明性への姿勢の表れとも言えます。
- 使用製剤の品質と種類の多様性: 厚生労働省またはFDA承認を受けた高品質な製剤を、部位・目的に応じて使い分けられるクリニックは、医療の質への本質的な投資を行っています。使用製剤のブランド・承認状況を透明に開示しているかどうかも、信頼性の指標となります。
- カウンセリングにおけるリスク説明の誠実さ: 「リスクは全くありません」という説明は、医学的に正確ではありません。血管塞栓を含むリスクを明確に説明した上で施術を勧める医師は、患者への誠実さと医師としての倫理を示しています。
- アフターフォロー体制の充実: 施術後のトラブルに迅速に対応できる体制——診療時間外の緊急連絡先・提携医療機関との連携——の有無を確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. ヒアルロン酸注射による血管塞栓は、どのくらいの確率で起きますか?
血管塞栓の発生率は施術者の技術や注入部位によって大きく異なるため、一概に数値でお示しすることは困難です。適切な技術を持つ医師による施術では稀な合併症とされていますが、鼻・眉間など解剖学的に血管が密集する高リスク部位では相対的に高くなることが知られています。施術前に担当医から部位別のリスク説明を受けることをお勧めします。
Q2. 施術後に皮膚が白くなったら、血管塞栓ですか?
施術直後の皮膚の白化(蒼白化)は、血管塞栓の典型的な初期サインのひとつです。注入による一時的な血管圧迫でも白化が起こりうる場合がありますが、いずれにせよ自己判断で様子を見ることは危険です。皮膚の白化が見られた場合は速やかに施術担当医に連絡してください。
Q3. 血管塞栓が起きたら、どうすればいいですか?
施術後に皮膚の白化・変色・強い疼痛・視覚異常などが現れた場合は、直ちに施術を行ったクリニックに連絡してください。担当医が対応できない場合や夜間・休日の場合は、近隣の救急外来や皮膚科・形成外科への受診を検討してください。対応の速さが転帰を大きく左右します。「明日になったら受診しよう」という判断は避けてください。
Q4. ヒアルロニダーゼは、どのクリニックにも必ずありますか?
ヒアルロニダーゼは全てのクリニックに必ずしも常備されているわけではありません。施術前のカウンセリングで「ヒアルロニダーゼは院内に常備されていますか?」と直接確認することを強くお勧めします。常備していないクリニックでは、緊急時の対応が遅れる可能性があります。
Q5. 鼻へのヒアルロン酸注射は、特に危険ですか?
鼻背・鼻根・鼻尖部は、眼動脈との解剖学的連絡が存在することから、血管塞栓リスクが相対的に高い部位とされています。逆行性塞栓による視力障害・失明に至った事例が国内外の医学文献で報告されていることから、高度な専門技術と豊富な症例経験を持つ医師による施術が特に求められます。「誰でも行える施術」ではありません。
Q6. カニューレとニードル、安全性の面ではどちらが優れていますか?
一般的に、先端が丸いカニューレはニードルと比較して血管を穿刺しにくいとされており、血管塞栓リスクの低減に寄与する場合があります。ただし、カニューレを使用すれば必ず安全というわけではなく、器具の選択よりも施術者の技術・知識・判断力が安全性を左右する最大の要因です。部位に応じた適切な器具選択と高い注入技術の組み合わせが重要です。
Q7. 血管塞栓のリスクが比較的低い注入部位はありますか?
顎・フェイスラインは、主要血管との距離が比較的あるため、鼻・眉間と比較して相対的にリスクが低い部位とされています。ただし、いかなる部位においても血管塞栓リスクをゼロにはできないことを理解した上で施術に臨むことが重要です。
Q8. 持病・既往歴・服用中の薬がある場合、リスクは高まりますか?
血管系疾患・凝固異常・自己免疫疾患などの既往歴や、抗凝固薬・アスピリン等の血液凝固に影響する薬剤を服用中の場合は、内出血リスクが高まる可能性があります。すべての既往歴・服用中の薬については、カウンセリング時に必ず正確に申告してください。医師が適切なリスク評価を行う上で不可欠な情報です。
Q9. 血管塞栓と内出血の違いは何ですか?
内出血は毛細血管からの出血が皮下に溜まったもので、青紫色のアザとして現れ、通常1〜2週間で自然消退します。血管塞栓は血管内の血流が遮断・阻害される状態であり、皮膚の白化・変色・強い疼痛を伴います。外見的に似て見える場合でも、「内出血だろう」と自己判断して放置することは危険です。疑わしい症状があれば、迷わず担当医に連絡してください。
Q10. 安全なクリニックを見分けるための、最も重要なポイントを教えてください。
最も重要な確認事項は、ヒアルロニダーゼの院内常備・医師の専門資格と部位別症例数・リスクに対する説明の誠実さ(「リスクはない」とは言わない)・アフターフォロー体制(緊急連絡先の有無)の4点です。価格の安さを前面に出したプロモーションではなく、安全対策への透明な説明を行っているクリニックが、長期的な安心の選択につながります。
Q11. ヒアルロン酸注射の効果はどのくらい持続しますか?
使用する製剤の種類・注入部位・注入量・個人の代謝速度によって異なりますが、一般的に6ヶ月〜2年程度を目安に効果が減弱していきます。定期的なメンテナンスを継続することで、より自然で持続的な変化を維持しやすくなります。担当医と適切なメンテナンス間隔を相談されることをお勧めします。
Q12. 施術後のダウンタイムはどのくらいですか?
部位・個人差・注入量によって異なりますが、腫れや内出血が数日〜1週間程度続く可能性があります。大切なイベントや人前に出る予定がある場合は、余裕をもったスケジュール設計をお勧めします。アフターケアの方法についても、施術前に担当医と十分に確認しておくことが重要です。
Q13. 複数部位に同時施術する場合、リスクは高まりますか?
複数部位への同日施術は、それぞれの部位のリスクが個別に存在することを意味します。注入量の増加に伴う腫れ・内出血の増大、および各部位のリスク評価の複雑化という観点から、担当医と十分に相談した上で施術計画を立てることが重要です。一度に多くの部位を施術することが必ずしも最善ではなく、段階的に行う方が安全性の観点から有利な場合もあります。
