公開日: 2022年08月24日
更新日: 2024年11月06日
【皮膚科医が徹底解説】クレーターやニキビ跡は治せる?
目次
性別や年齢にかかわらず、お肌のニキビに悩む方は多くいると思います。中には、ニキビによって出来てしまった肌の凹凸が気になる方もいるでしょう。
肌に出来てしまう凹凸はクレーターとも呼ばれていて、肌ダメージがかなり強い状態です。クレーター肌は治らないと思っている方もいると思いますが、正しい治療を行えば完治します。しかし状態によって治療は異なるので、クレーターについて正しく理解することが重要です。
当記事では、クレーターの仕組みや治療法について解説しています。 肌の凹凸にお悩みの方はもちろん、ニキビにお悩みの方も是非ご一読ください。
クレーターができる理由
クレーターとは、肌の毛穴や毛穴の周辺が凸凹になってしまっていることを言います。
クレーターになると、肌内部の真皮層や皮下組織まで傷ついてしまっている状態なので、毛穴や毛穴周辺が炎症を起こしてしまい、コラーゲンなどが破壊されます。そのため、肌が凹凸になってしまうのです。
クレーターの原因は複数ありますが、多くの場合はニキビが原因です。炎症が強いニキビが進行すると、クレーターになる可能性があります。クレーターを防ぐためにも、ニキビの重症化を避けることが重要です。
クレーターのニキビ跡の種類と症状
また、クレーターには3つの種類があります。種類によって症状が異なり、肌の状態にあった方法で治療することが大切です。
● ボックスカー型
その名の通り、肌が四角くへこんでいる状態を「ボックスカー型」と言います。
クレーターの中でも最も頻度が高い種類です。このボックスカー型は、肌の表面が直角にへこんでいます。凹の字のように、へこんだ肌の底は平らなのが特徴です。
フラクショナルRFやピコフラクショナルなどのレーザー、ダーマペン、ポテンツァなどで治療を行います。ピーリングも有効です。
● アイスピック型
アイスピックで刺したような小さくて深い凹凸があるのが「アイスピック型」です。
肌の表面を見ると凹みは小さい点のようにみえますが、意外と深いのが特徴です。中には小さいクレーターのように見えても、皮下組織まで凹んでしまっている場合もあります。
他の種類と比べて深いクレーターで治療が難しいタイプですが、レーザー治療やダーマペンなどである程度の改善が期待できます。
● ローリング型
クレーターの大きさが大きい(直径4mm以上)ものを「ローリング型」と言います。
大きく凹んでいますが、くぼみ方がボックスカーなどと比べると滑らかなのが特徴です。
まるで波のように凹んでいるこの状態は、引きつれたような見た目をしています。いびつな形で、肌の奥深くまで凹んでしまっている場合もあります。
レーザー治療やダーマペン、ピーリング、ポテンツァにくわえ、サブシジョンが有効です。
上記のように、クレーターと言っても複数の種類があり、その深さや特徴も様々です。
また、複数の種類が組み合わさることもあります。
クレーター肌の場合は、肌内部の奥深くまでダメージを受けているので、ターンオーバー(肌の新陳代謝)が正常に行われなくなっています。肌のタイプや状態によっては、同じ種類のクレーターであっても治療が異なるため、クレーター肌の治療はクリニックへの相談が必要です。
クレーターのニキビができやすいゾーン
クレーターは、ニキビが悪化した場合に残る跡なので、ニキビができやすい箇所はクレーターができやすい箇所です。
ニキビの箇所は、眉間やおでこ、こめかみなどのTゾーン、口の周りやアゴ、フェイスラインなどをイメージされるでしょう。
なかでもアゴやフェイスラインは、食べ物や髪の毛などの刺激が多く、ニキビが悪化しやすい箇所です。また、ホホのニキビは、クレーターになってしまうと目立ちやすいので、重症化は避けたいところです。
クレーターを防ぐためには、まずはニキビができない肌を作ること、ニキビができても悪化させないようにケアをすることが重要になります。
思春期は、皮脂が多く分泌されるTゾーンやホホにニキビができやすく、大人になると乾燥が原因でニキビができることもあります。
ニキビが対策としては、バランスのよい食事や睡眠、ストレスをためないことが大切です。やさしく洗顔して、たっぷりと保湿し、日中は日焼け止めを活用するなど、スキンケアもきちんと行いましょう。
もしニキビができてしまったら、自己流のケアや触ったり潰したりすることはせず、低刺激のスキンケア用品でケアをし、クリニックで相談されるとよいでしょう。
クレーターを自力で治すことはできる?
クレーター肌になっている状態を改善するためには、クリニックでの治療が不可欠になります。肌が大きなダメージを受けているため、ご自身の力で完治を目指すことは難しいでしょう。しかし、クレーターの症状を軽くするようなケアは自宅でも可能です。
ご自宅で根気よく正しいケアを行えば、クレーターが多少滑らかになります。
ただ、一般的に販売されているスキンケア用品の成分では肌内部まで届けることが難しく、正しく使用していても、肌表面の角質層までしか効果がないのがほとんどです。
そのため、クレーター肌を自力で完治することが出来ません。
クレーターを少しでも良くするためにできるセルフケア
自力での完治が難しいクレーターですが、正しいスキンケアを毎日根気よく行うことで、多少滑らかになることがあります。クレーター肌のセルフケア方法は以下の通りです。
● 洗顔を丁寧に行う
まず重要なのが、洗顔です。 お肌の汚れを落としてきれいな状態を作ることは、クレーター肌に限らず、美しい肌を作るための基本でもあります。メイクをされている方は、メイクもしっかり落としましょう。
丁寧に洗顔すると、角質が溜まりにくくなります。古い角質が取り除かれれば、見た目の改善へと繋がり、滑らかな肌に近づくことが出来ます。
ここでの注意点は肌に刺激を与えないことです。
肌への刺激は状態を悪化させる可能性があるので、ゴシゴシするのはやめましょう。洗顔は、石鹸をよく泡立ててから行うと効果的です。
● 丁寧に保湿する
次に肌の保湿を行います。
化粧水や乳液を顔全体にのばしましょう。この時、使用する順番も気を付けてください。
肌の保湿を行う際は、化粧水や乳液を手のひらでのばしてから、お顔全体を優しく包み込むようになじませてください。
洗顔と同様、強い力を加えることはNGです。決して力は必要ありません。
化粧水や乳液での保湿は、正しい分量を使用することと、優しく肌になじませることがポイントです。
● クレーター肌に合った基礎化粧品を使用する
通常のスキンケア用品では、クレーター肌を改善することは難しいです。クレーター肌の改善には肌のターンオーバーが必要なので、ターンオ-バーを活性化させる成分が入ったスキンケア用品を使用しましょう。ターンオーバーの活性化を促す成分は以下の通りです。
・ビタミンA:抗酸化力が強く、肌を正常にする
・ビタミンC誘導体:コラーゲン合成の促進
・低分子ヒアルロン酸:肌内部の保湿力向上
・アスタキサンチン:肌の弾力を取り戻す
これらの成分が入った基礎化粧品を使って正しくケアすることで、肌のターンオーバーを促します。
上記のように正しくセルフケアをしていても、クレーターを自宅で治すには限界があります。地道にコツコツケアしなければならないので時間もかかりますし、有効成分が入った基礎化粧品も安いものではありません。
クレーター肌の完治を目指す方や、より早く改善したい方は、クリニックでの治療がおすすめです。クリニックの治療なら、知識を持った医師が市販では手に入らない機器と成分を使って治療を行います。より早く効果を実感したいならセルフケアではなく、クリニックへの受診に切り替えましょう。
クレーター治療、ニキビ跡の予防
クレーター治療には、様々な方法がありますが、主なものとしては、フラクショナルレーザー、ダーマペン、ケミカルピーリング、ヒアルロン酸注入などが挙げられます。これらの治療法は、いずれも肌に微細な穴を開けたり、薬剤を注入したりすることで、肌の再生を促し、クレーターを改善する効果が期待できます。どの治療法が適しているかは、クレーターの種類や程度、肌質などによって異なります。医師と相談し、自分に合った治療法を選びましょう。
クレーターは、ニキビ跡にできるため、ニキビ跡を予防することがクレーター予防にもつながります。ニキビ跡を予防するためには、ニキビを悪化させないことが大切です。ニキビを触ったり、潰したりすることは避け、正しいスキンケアを心がけましょう。また、生活習慣の乱れもニキビの原因となるため、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけましょう。ニキビができてしまった場合は、早めに皮膚科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
POTENZA(ポテンツァ)
ポテンツァは、マイクロニードルRF(高周波)治療器です。極細の針を皮膚に刺し、針先から高周波を照射することで、肌の深層に熱エネルギーを届けます。肌の再生を促進し、クレーターやニキビ跡の改善、毛穴の開き、肌のハリ・ツヤなどに効果が期待できます。
ミラノリピール
ミラノリピールは、イタリア製の薬剤を使用したケミカルピーリングです。TCA(トリクロロ酢酸)、フェノール、コウジ酸などの有効成分が、肌のターンオーバーを促進し、ニキビ跡やクレーター、シミ、くすみなどを改善します。肌への負担が少なく、ダウンタイムも短いため、気軽に治療を受けられます。
美白オーロラプロ・美白オーロラ
美白オーロラは、IPL( Intense Pulsed Light)という光治療器です。広範囲の波長を持つ光を照射することで、メラニン色素にダメージを与え、シミやくすみ、そばかすなどを改善します。また、コラーゲンの生成を促進する効果もあり、ニキビ跡の赤みや毛穴の開きにも効果が期待できます。
美容クリニック・美容皮膚科でのクレーター治療でできること
クレーター肌の治療は、凹凸の深さや種類によって大きく異なります。一般的な治療法は以下の通りです。
・レーザー治療
・ダーマペン
・ヴェルベットスキン
・ピーリング
クリニックによって取り入れている機器や薬剤に違いがあるので、他の治療を行うこともあります。
現在の肌の状態やクレーターの種類によっては、効果が期待できない治療法もあるので、事前の診察で治療法や方向性をお互いに確認することが重要です。不安なことや不明点があれば、診察の時点で医師に伝えましょう。
医療機関でのクレーター治療法 レーザー
クレーターの改善に使われるレーザー治療は、レーザーを使って皮膚の表面にドット状の穴を開ける治療法です。わざと治りにくい傷を作ることによって、肌内部の生まれ変わりを促進させます。皮膚が傷を治す過程でコラーゲンなどの美容成分が生成されるので、傷を作った時の肌よりも綺麗な肌作りが可能です。
クレーター治療で使われているレーザーは以下の種類です。
● CO2フラクショナル
CO2フラクショナルレーザーは、炭酸ガスをつかったレーザーです。
このレーザーは、細胞の水分に反応して蒸散・熱凝固させることで肌の改善を行います。
● ピコのフラクショナル
ピコのフラクショナルは、よりレーザー光線の密度を高めたものです。
このレーザーを使うことで、皮膚の深いところまで照射することが可能になります。
● ノンアブレイティブフラクショナル
ノンアブレイティブフラクショナルレーザーは、皮膚には穴を開けずに治療するレーザーです。肌に穴は開きませんが、照射によって皮膚組織にダメージを与えることが出来ます。
穴を開けるレーザーに比べると、効果は感じにくいです。
レーザーは上記以外にも複数の種類があります。
多くのレーザーは穴を開けるので、施術後に出血や赤みが伴うこともあります。レーザーを当てているときに痛みを感じることもありますが、麻酔クリームの使用で痛みの軽減が可能です。
レーザー治療は1回で効果を感じることが難しいので、複数回の施術が必要となります。
傷を作る施術なので、短期間で再度治療することはできません。施術間隔の目安は月に1度程度です。医師と相談の上、しっかりスケジュールを組んで治療しましょう。
医療機関でのクレーター治療法 ダーマペン
近年注目度が高まっているダーマペンでも、クレーター治療が可能です。
ダーマペンは、複数の極細針がついている機械を使って肌に穴を開けます。レーザー治療と同様に、意図的に肌を傷つけることで自然治癒力を高め、肌質改善を行う治療法です。
人間の傷は、治るときに細胞が活性化します。その力が美肌作りに大きな役割を担っているのです。
ダーマペンは施術時間が短いのが魅力の1つですが、1度の施術では効果を感じられない場合もあります。月1回程度の施術を複数回行うことで、満足度の高い効果が得られるでしょう。
また、治療中は麻酔クリームを使用するため、痛みは最小限に抑えられます。
施術後は赤みや出血が伴うこともありますが、短時間で収まっていくので過剰な心配はいりません。ダウンタイムが短いこともダーマペンのメリットです。
ダーマペンは赤みを持ったニキビがあっても使用することが出来ます。クレーターとニキビの両方に悩んでいる方にはおすすめの治療法です。
症例写真(ダーマペン)
施術前
施術後
症例写真 ダーマペン
施術前
施術後
高濃度ビタミンC点滴療法
施術前
施術後
高濃度ビタミンC点滴療法
施術前
施術後
ハイドラフェイシャル・美容再生フラクショナルRF+イオン導入
施術前
施術後
医療機関でのクレーター治療法 ヴェルベットスキン
ヴェルベットスキンは、ダーマペンとマッサージピールを併用する施術です。極細針で皮膚に無数の穴をあけた後、マッサージピールで薬剤を皮膚内部まで浸透させます。
肌再生が促進され、凹んだ箇所が押し上げられると、クレーターが目立ちにくくなります。さらに薬剤の浸透によって、肌質改善の相乗効果も得られるのです。
医療機関でのクレーター治療法 ピーリング
クレーターの治療で、レーザー治療と同じくらい有名なものがピーリングです。この治療は薬の力を使って、皮膚の角質を溶かす方法です。皮膚が再生する力を使って滑らかな肌を作ります。
ピーリングの中でも代表的なものがケミカルピーリングという治療法ですが、ニキビ跡の赤みや色素沈着への施術と比べると、効果を感じにくいのがデメリットです。ダウンタイムを気にせず、ゆっくり治療したいという方におすすめする治療法になります。
施術後は、肌にヒリヒリ感や乾燥といった副作用を感じることがあります。また、施術を頻繁に行ってしまうと、炎症やシミにつながってしまうので注意が必要です。
施術の間隔は月1回程度になります。他の施術と同様に、1度で効果を実感することは難しいですが、多くのクリニックはダーマペンやレーザーよりも手頃な料金で行っています。
そのため、レーザーなどに比べて手軽に施術できる治療法です。
まとめ
当記事ではクレーター肌の基礎知識や治療法について紹介しました。
クレーター肌はニキビやシミのようにメイクで隠すことが難しいので、マスクで顔全体を隠してしまう方も多いと思います。そんな状態では、せっかく外出しても楽しめないですよね。
しかし、クレーター肌は完治が可能です。
治療には時間や料金がかかりますが、定期的な通院をすることでかなり改善されます。
クレーター肌になる前にケアすることはもちろん大切ですが、クレーター肌に効果的な治療はたくさんあるので安心してください。
ご自身のセルフケアでも軽減することはできますが、お肌に関してお悩みがある場合は医師への相談がおすすめです。クリニックならより早い完治が可能ですし、専門の知識を持った医師の診察やアフターケアがあります。
1人で悩んでしまう前に、ぜひ一度クリニックへご相談ください。医師が責任をもって、1人1人に合った治療を提案いたします。
ご相談は、初診・再診問わず、お電話・WEBフォーム・LINEにて受付中です。
この記事の監修者
藤井 靖成
大阪・梅田 藤井クリニック院長
総合内科内科専門医であると同時に消化器内視鏡専門医・指導医として従事。
胃がん大腸がんに対する内視鏡検査・手術を通して磨いた技術と豊富な経験を活かしながら、美容外科の技術も習得し約40000例の美容外科施術経験を積む。また、皮膚額をベースとするスキンケア医療に取り組む。
「楽しく生きる」をコンセプトに、自身が理想とする医療を追い求めるため、2007年5月 大阪・梅田に「藤井クリニック」を開院。
開院以来、美容整形手術ではない、自然な綺麗さや若返りを目的としたメスを使わない美容医療を提供し、約15年間で70000例以上の実績を持つ。