公開日: 2026年02月20日

更新日: 2026年02月18日

ヒアルロン酸ナチュラルデザイン完全ガイド|自然な美しさを実現する方法

10秒でわかるこの記事の要約
  • ヒアルロン酸注射を検討される際、最も大きな不安は「不自然な仕上がりにならないか」ではないでしょうか。「パンパンに膨らんだ頬」「ソーセージのような唇」「いかにも入れました、という印象」──そうした失敗を避けたいと思うのは、当然のことです。
  • 実は、ヒアルロン酸による不自然な仕上がりの原因は、製剤の品質ではなく、医師のデザイン力にあります。どんなに高品質な製剤を使用しても、顔全体のバランスを考慮せず、適切な量と位置に注入できなければ、自然な美しさは実現できません。
  • 特に30代後半から50代後半の女性にとって、「若返り」と「若作り」は全く異なります。年齢に応じた上品な若々しさ、表情の動きに調和した自然な立体感──こうした繊細なデザインを実現するには、医師の解剖学的知識、美的センス、そして豊富な経験が不可欠です。
  • この記事では、ヒアルロン酸におけるナチュラルデザインとは何か、不自然な仕上がりを避けるための具体的なポイント、デザイン力のある医師の見極め方まで、医学的根拠に基づいた正確な情報をお届けします。自然な美しさを追求される方にこそ、お読みいただきたい内容です。

目次

ヒアルロン酸における「ナチュラルデザイン」とは

ヒアルロン酸治療における「ナチュラルデザイン」とは、単に「控えめに注入する」ことではありません。それは、一人ひとりの顔の特徴、骨格、年齢、表情の動きを総合的に考慮し、その人本来の美しさを最大限に引き出すデザインのことを指します。

ナチュラルとは何か

真のナチュラルデザインには、以下の要素が含まれます。

  • 顔全体の調和:部分的に見て美しくても、顔全体で見たときに違和感があれば、それはナチュラルではありません
  • 年齢との調和:20代の肌に50代の顔が乗っていたり、逆に50代なのに20代のようなボリュームがあったりするのは不自然です
  • 表情との調和:笑ったとき、話したとき、表情が変わったときにも違和感がないこと
  • 骨格との調和:その人の骨格に合わない形やボリュームは、不自然に見えます
  • 肌質との調和:ハリのない肌に過度なボリュームを入れると、かえって不自然になります

不自然な仕上がりとの違い

不自然な仕上がりには、共通する特徴があります。

  • 顔のパーツだけが浮いて見える
  • 表情が硬く、動きが不自然
  • 光の当たり方によって凹凸が目立つ
  • 年齢に対して不釣り合いなボリューム
  • 左右のバランスが明らかに異なる

これらは、部分的な視点だけで治療を行った結果です。ナチュラルデザインでは、常に「顔全体」「その人らしさ」「年齢との調和」という視点を持って治療を進めます。

30代後半〜50代後半女性が目指すべき自然な美しさ

この年代の女性にとって、目指すべきは「20代のような若さ」ではなく、「その年代ならではの上品な美しさ」です。

適度なボリューム感により、疲れた印象や落ち込んだ印象を払拭しつつも、人生の経験が表れる知的で洗練された雰囲気を保つ。これが、成熟した女性にふさわしいナチュラルデザインです。

「若返り」と「若作り」の違い

若返り:年齢に応じた自然な若々しさ。疲れや老けて見える要素を改善し、本来の美しさを取り戻すこと。

若作り:年齢を無視した過度なボリューム。不自然に膨らんだ部位や、年齢に不釣り合いな形は、かえって年齢を強調します。

ナチュラルデザインが目指すのは、あくまで前者です。

なぜデザイン力が最も重要なのか

ヒアルロン酸治療において、製剤の品質はもちろん重要ですが、最終的な仕上がりを決定するのは、医師のデザイン力です。

ヒアルロン酸の品質よりも医師のデザイン力が結果を左右する理由

どんなに高品質なヒアルロン酸製剤を使用しても、以下のような要素が適切でなければ、自然な仕上がりは実現できません。

  • 注入する位置:1mm違うだけで、印象が大きく変わります
  • 注入する深さ:浅すぎれば凹凸が目立ち、深すぎれば効果が出ません
  • 注入する量:0.1cc単位での微調整が、自然と不自然を分けます
  • 注入する順序:どの部位から注入するかで、最終的なバランスが変わります
  • 製剤の選択:部位に応じた適切な硬さ・粘性の製剤を選ぶこと

これらの判断は、医師の解剖学的知識、美的センス、そして豊富な経験に基づいて行われます。

顔のバランス・黄金比の重要性

美しい顔には、一定の比率があります。いわゆる「黄金比」と呼ばれるもので、以下のようなバランスが理想とされています。

  • 顔の縦の比率:額の生え際から眉頭、眉頭から鼻の下、鼻の下から顎先が1:1:1
  • 顔の横の比率:顔の幅が目の幅の5倍程度
  • 目と目の間隔:目の幅と同じ程度
  • 唇の比率:上唇と下唇が1:1.5程度

ナチュラルデザインでは、これらの比率を考慮しながら、その人の特徴を活かした美しさを追求します。

部分的ではなく、顔全体を見る視点

「ほうれい線だけを消したい」という要望があっても、優れた医師は必ず顔全体を見ます。

なぜなら、ほうれい線が目立つ原因は、頬のボリュームロスにあることが多いからです。単純にほうれい線の溝を埋めるだけでは、かえって不自然になります。頬の高い位置にボリュームを足すことで、ほうれい線も目立たなくなり、全体として若々しい印象になる──これが、顔全体を見る視点の重要性です。

表情の動きを考慮したデザイン

顔は常に動いています。笑う、話す、食べる──こうした日常的な動作の中で、自然に見えることが重要です。

静止した状態でのみ美しく、表情を変えたときに不自然になるのでは意味がありません。優れたデザインは、表情筋の動きを理解し、どの表情でも自然に見えるよう計算されています。

骨格・筋肉・脂肪の理解

ナチュラルデザインには、深い解剖学的知識が必要です。

  • 骨格:その人の骨格の特徴を理解し、それに調和する形を作る
  • 筋肉:表情筋の位置と動きを理解し、筋肉を妨げない位置に注入する
  • 脂肪:脂肪の分布と加齢による変化を理解し、自然なボリューム感を作る
  • 血管:血管の走行を理解し、血管塞栓のリスクを避ける

これらの知識なしに、ナチュラルで安全な治療は不可能です。

ナチュラルな仕上がりを実現する注入テクニック

同じ製剤を使用しても、注入テクニックによって仕上がりは大きく異なります。ナチュラルな仕上がりを実現するための、具体的なテクニックをご紹介します。

注入の深さ(層の選択)

皮膚は、表皮、真皮、皮下組織、筋肉、骨膜と層構造になっています。ヒアルロン酸は、目的に応じて適切な層に注入する必要があります。

  • 浅層(真皮層):細かいしわの改善。浅すぎると凹凸が目立つリスク
  • 中層(皮下組織):ほうれい線などの深いしわ、涙袋形成
  • 深層(骨膜上):頬やこめかみのボリューム補正、リフトアップ効果

部位と目的に応じて、適切な深さを選択することが、ナチュラルな仕上がりの基本です。

注入の量(適量の見極め)

「多ければ良い」というものではありません。むしろ、適量を見極める能力こそが、医師の技術の証です。

0.1cc単位での微調整を行いながら、鏡で確認し、患者様と共有しながら進めることが重要です。一度に大量に注入するのではなく、段階的に少しずつ注入し、その都度確認する──この慎重なプロセスが、ナチュラルな仕上がりにつながります。

注入の位置(解剖学的理解)

1mm位置がずれるだけで、印象は大きく変わります。

例えば、頬のボリュームを出す場合、頬骨の最も高い位置(頬骨弓)の少し下に注入することで、自然なリフトアップ効果が得られます。しかし、位置が低すぎると、かえって頬が垂れて見えることもあります。

このような繊細な判断は、解剖学的知識と豊富な経験に基づいて行われます。

カニューレ vs ニードル

ヒアルロン酸の注入には、ニードル(針)とカニューレ(鈍針)の2種類があります。

ニードル:細い針で、ピンポイントで正確に注入できます。涙袋など繊細な部位に適していますが、内出血のリスクがやや高めです。

カニューレ:先端が丸い鈍針で、血管を避けながら広範囲に注入できます。内出血のリスクが低く、頬などの広い範囲に適しています。

経験豊富な医師は、部位や目的に応じて使い分けます。

段階的な注入の重要性

一度に大量に注入するのではなく、段階的に注入することが、ナチュラルデザインの鉄則です。

初回は控えめに注入し、2週間〜1ヶ月後に経過を見て、必要であれば追加する。このアプローチにより、「入れすぎた」という失敗を避けられます。

また、ヒアルロン酸は注入直後は腫れもあり、最終的な仕上がりとは異なります。馴染んだ状態を見てから判断することが重要です。

部位別:ナチュラルデザインのポイント

部位ごとに、ナチュラルデザインのポイントは異なります。それぞれの部位で、何が自然で、何が不自然なのかを理解しましょう。

ほうれい線

単純に溝を埋めるのではなく、頬の高い位置から改善

ほうれい線が目立つ原因は、多くの場合、頬のボリュームロスです。頬が下がることで、ほうれい線の溝が深く見えるのです。

ナチュラルなアプローチは、ほうれい線の溝を直接埋めるのではなく、頬の高い位置(頬骨の下あたり)にボリュームを足すことです。これにより、頬全体がリフトアップされ、ほうれい線も自然に目立たなくなります。

過剰注入による「膨らんだ頬」を避ける

ほうれい線を消そうと、溝に直接大量に注入すると、頬が不自然に膨らみ、「パンパン」な印象になります。これは明らかに不自然です。

適量は、あくまで「目立たなくする」程度。完全に消そうとするのではなく、自然に浅くする──この微妙なさじ加減が、ナチュラルデザインのポイントです。

涙袋

やりすぎ注意:不自然な涙袋の特徴

涙袋は、適度な膨らみで目元を華やかに見せる効果がありますが、やりすぎは禁物です。

不自然な涙袋の特徴:

  • ソーセージのように横に長く膨らんでいる
  • 笑ったときに涙袋だけが異様に膨らむ
  • 涙袋の下に影ができてしまう(逆に老けて見える)
  • 目の形とバランスが取れていない

自然な涙袋の条件

自然な涙袋は、以下の条件を満たします。

  • 目頭から目尻までの長さの3分の2程度の範囲
  • 高さは控えめ(2〜3mm程度)
  • 表情を変えても自然に動く
  • 目の形に調和している
  • 光の当たり方で自然な陰影ができる

厚すぎる唇は不自然

「ふっくらした唇」と「厚すぎる唇」は違います。

唇が厚すぎると、以下のような不自然な印象になります。

  • 顔のパーツとしてバランスが崩れる
  • 「アヒル口」のような不自然な形
  • 話したり食事したりする際に違和感
  • 人種や年齢に不釣り合い

輪郭と形のバランス

ナチュラルな唇のデザインでは、以下を重視します。

  • 上唇と下唇のバランス(1:1.5程度が理想)
  • 唇の輪郭を明瞭にしつつ、自然な形を保つ
  • リップラインと調和したボリューム
  • M字の形を自然に保つ

人種・年齢に応じた適切な厚み

日本人女性の場合、欧米人のような厚い唇は不自然に見えることがあります。また、50代女性が20代のようなふっくらした唇を持つのも、顔全体のバランスから見ると不自然です。

年齢に応じた適度なボリューム感が、ナチュラルな美しさを作ります。

顎・フェイスライン

シャープすぎる顎は不自然

フェイスラインをシャープにしたいという要望は多いですが、やりすぎは禁物です。

極端にシャープな顎や、角張りすぎたフェイスラインは、人工的な印象を与えます。特に日本人女性の場合、ある程度の丸みがあった方が、自然で女性らしい印象になります。

顔全体とのバランス

顎やフェイスラインのデザインは、必ず顔全体とのバランスで考えます。

  • 額の広さとのバランス
  • 頬の幅とのバランス
  • 首の細さとのバランス
  • 全体的な顔の形(丸顔、面長など)との調和

不自然な仕上がりになる原因

ナチュラルデザインを実現するためには、不自然な仕上がりになる原因を理解しておくことも重要です。

原因 結果 自然な仕上がりとの違い
過剰な注入量 パンパンに膨らんだ頬、ソーセージのような唇、不自然なボリューム感 自然な仕上がりは、適度なボリューム感で表情の動きを妨げない
浅すぎる注入 皮膚表面の凹凸、しこり、チンダル現象(青白く見える) 適切な深さに注入すれば、滑らかで自然な質感
部分的な視点 特定の部位だけが浮いて見える、顔全体のバランスが崩れる 顔全体の調和を考慮し、バランスの取れた美しさ
患者の要望を鵜呑み 客観的に見て不自然、年齢や骨格に合わない形 医師が専門的視点から適切な提案を行い、患者と共にデザインを決定
表情筋の理解不足 笑ったときや話したときに不自然な動き、表情が硬い 表情筋の動きを理解し、どの表情でも自然に見えるデザイン
左右差への配慮不足 明らかな左右非対称 元々の左右差を考慮し、バランスを整える

ナチュラルデザインを実現する施術の流れ

ナチュラルデザインを実現するためには、施術の流れも重要です。以下のようなステップで進められるクリニックが理想的です。

1. カウンセリング(デザインの共有が最重要)

ナチュラルデザインにおいて、最も重要なのがカウンセリングです。

  • 患者様の「ナチュラル」のイメージを具体的に確認
  • 症例写真を見ながら、好みの仕上がりを共有
  • 現在の状態と、改善したいポイントの確認
  • 医師の視点から見た、最適なデザインの提案
  • リスクやデメリットの説明

この段階で、医師と患者様の「ナチュラル」の定義が一致していることが、成功の鍵です。

2. 顔全体のバランス診断

医師が顔全体を診察し、以下を評価します。

  • 骨格の特徴
  • 脂肪の分布
  • 筋肉の動き
  • 皮膚の質感・ハリ
  • 左右差
  • 顔の比率

3. シミュレーション・デザイン提案

診断結果を基に、具体的な治療計画を提案します。

  • どの部位に、どの製剤を、どのくらいの量注入するか
  • 優先順位(一度に行うか、段階的に行うか)
  • 予想される仕上がりの説明
  • 料金の明確な提示

4. 段階的な注入

実際の注入では、一度に大量に入れるのではなく、段階的に進めます。

  • まず控えめに注入
  • 鏡で確認しながら、患者様と共有
  • 必要に応じて追加
  • 0.1cc単位での微調整

5. 都度確認しながらの微調整

注入の途中で何度も鏡で確認し、患者様の意見を聞きながら進めます。

「もう少し」「このくらいで十分」といった感覚を、医師と患者様が共有しながら進めることが、満足度の高い仕上がりにつながります。

6. 経過観察とタッチアップ

施術後2週間〜1ヶ月後に経過を確認し、必要であれば微調整(タッチアップ)を行います。

腫れが完全に引いた状態で見ることで、より正確な判断ができます。

ヒアルロン酸製剤の選択とナチュラルな仕上がり

製剤の選択も、ナチュラルな仕上がりに影響します。部位に応じて適切な硬さ・粘性の製剤を選ぶことが重要です。

製剤タイプ 適応部位 質感 ナチュラル度
柔らかいタイプ 涙袋、唇、浅いしわ 非常に柔らかく、組織に馴染みやすい 高い(表情の動きに自然に追従)
中程度 ほうれい線、マリオネットライン、頬の表層 適度な弾力性があり、しわの改善に適している 高い(バランスの良い質感)
硬いタイプ 頬の深層、顎、鼻筋 しっかりとした支持力があり、輪郭形成に適している 中〜高(適切に使えば高いが、使い方を誤ると不自然)

経験豊富な医師は、部位だけでなく、患者様の皮膚の厚さ、質感、年齢なども考慮して製剤を選択します。

製剤選択の重要性

例えば、唇に硬い製剤を使用すると、ゴツゴツとした不自然な質感になります。逆に、顎に柔らかい製剤を使用すると、十分な輪郭形成効果が得られません。部位に応じた適切な製剤選択が、ナチュラルな仕上がりの基本です。

ナチュラルデザインのビフォーアフターの見方

クリニックの症例写真を見る際、以下のポイントに注目することで、そのクリニックのデザイン力を判断できます。

症例写真で確認すべきポイント

  • 顔全体のバランス:特定の部位だけでなく、顔全体が調和しているか
  • 自然な立体感:不自然な膨らみや凹凸がないか
  • 年齢との調和:年齢に応じた適切なボリューム感か
  • 表情の自然さ:笑顔の写真があれば、表情が自然か確認
  • 左右のバランス:明らかな左右差がないか

光の当て方に注意

症例写真は、光の当て方で印象が大きく変わります。

強い光を正面から当てた写真は、凹凸が目立ちにくくなります。自然光での写真や、複数の角度からの写真があるクリニックは、透明性が高いと言えます。

角度による印象の違い

正面からの写真だけでなく、斜めや横からの写真も確認しましょう。

特にフェイスラインや顎の治療では、横顔の美しさが重要です。

表情のある写真で自然さを確認

無表情の写真だけでなく、笑顔の写真があれば、表情が変わったときの自然さを確認できます。

静止した状態だけでなく、表情が動いたときにも自然であることが、真のナチュラルデザインです。

同じ条件での比較の重要性

ビフォーアフターは、同じ角度、同じ照明、同じ表情で撮影されていることが重要です。

条件が異なると、治療の効果なのか、撮影条件の違いなのか判断できません。

30代後半〜50代後半女性特有のナチュラルデザイン

この年代の女性には、特有のナチュラルデザインのポイントがあります。

年齢に応じた適切なボリューム

30代後半から50代後半にかけて、顔のボリュームは自然に減少します。これは正常な老化のプロセスです。

ナチュラルデザインでは、20代のような過度なボリュームを目指すのではなく、年齢に応じた適度なボリューム感を保つことを目指します。

疲れた印象や落ち込んだ印象を与える過度なボリュームロスを改善しつつも、成熟した女性らしい品格を保つ──このバランスが重要です。

若作りではなく、上品な若々しさ

50代女性が20代のような肌やボリュームを持つことは、かえって不自然に見えます。

目指すべきは、「その年代ならではの美しさ」です。人生の経験が表れる知的で洗練された雰囲気を保ちながら、若々しい印象を与える──これが、成熟した女性にふさわしいナチュラルデザインです。

骨格の変化を考慮したデザイン

加齢とともに、骨格も変化します。特に眼窩(目の周りの骨)が広がることで、目元がくぼんで見えたり、頬骨の下が凹んで見えたりします。

ナチュラルデザインでは、こうした骨格の変化を理解し、適切な位置にボリュームを補うことで、自然な若々しさを取り戻します。

皮膚の質感との調和

50代の皮膚は、20代の皮膚とは質感が異なります。ハリや弾力が低下し、毛穴も目立ちやすくなります。

こうした皮膚の質感に対して、過度なボリュームを入れると、かえって不自然になります。皮膚の質感と調和したボリューム感が、ナチュラルな美しさを作ります。

場合によっては、ヒアルロン酸だけでなく、肌質改善の治療(レーザーや美容点滴など)と組み合わせることで、より総合的な美しさを実現できます。

表情じわとのバランス

年齢とともに、表情じわも目立つようになります。しかし、すべてのしわを消そうとするのは不自然です。

笑ったときの目尻のしわ(カラスの足跡)などは、表情の豊かさを表すものであり、完全に消す必要はありません。むしろ、適度に残すことで、自然で親しみやすい印象になります。

ナチュラルデザインでは、「深すぎて疲れて見えるしわ」は改善しつつも、「表情の豊かさを表すしわ」は適度に残す──このバランスが重要です。

ナチュラルを実現するためのクリニック選び

ナチュラルデザインを実現するためには、クリニック選びが最も重要です。以下のポイントを参考に、慎重に選んでください。

デザイン力のある医師の見極め方

  • 美容医療の専門医資格:形成外科専門医など、適切な教育と訓練を受けている
  • 豊富な経験:ヒアルロン酸注射の症例数が多い
  • 解剖学の知識:骨格、筋肉、血管の位置を正確に理解している
  • 美的センス:バランス感覚、比率の理解がある
  • コミュニケーション能力:患者の希望を理解し、適切に提案できる

症例写真の質で判断する

クリニックのウェブサイトやSNSで公開されている症例写真を見ることで、そのクリニックのデザイン力をある程度判断できます。

  • 症例写真の数が多い
  • 様々な角度からの写真がある
  • ビフォーアフターの条件が統一されている
  • 仕上がりが自然で美しい
  • 年齢層が幅広い(様々な年代に対応できる)

カウンセリング時の確認ポイント

実際にカウンセリングを受ける際、以下を確認しましょう。

  • 十分な時間をかけてカウンセリングしてくれるか
  • 顔全体を見て、総合的な提案をしてくれるか
  • リスクやデメリットも正直に説明してくれるか
  • 患者の希望を一方的に受け入れるのではなく、専門的視点から適切な提案をしてくれるか
  • 症例写真を見せながら、具体的なイメージを共有してくれるか
  • 料金が明確に提示されるか

美的センスの確認方法

医師の美的センスを確認するには、以下の方法があります。

  • クリニックの内装やデザインを見る(美的センスは環境にも表れます)
  • 医師自身の身だしなみや話し方を観察する
  • 症例写真のセンス(撮影の仕方、見せ方)を見る
  • SNSやブログでの発信内容を確認する

「ナチュラル」の定義が一致しているか確認する重要性

「ナチュラル」という言葉の定義は、人によって異なります。

カウンセリングの際、症例写真を見ながら「このくらいの仕上がりがナチュラルだと思う」と具体的に共有することが重要です。

医師と患者様の「ナチュラル」の定義が一致していないと、施術後に「思っていたのと違う」ということになりかねません。

「安さ」ではなく「デザイン力」で選ぶ

ナチュラルデザインを実現するには、医師の高い技術とデザイン力が必要です。そうした技術には、相応の価値があります。

価格だけで判断して安価なクリニックを選び、不自然な仕上がりになって修正治療を受けることになれば、結果的に時間的にも精神的にも、そして経済的にも大きな負担となります。

「安さ」ではなく「デザイン力」「技術力」「安全性」で選ぶことが、満足度の高い結果につながります。

よくある「不自然」な失敗例と対策

ナチュラルデザインを理解するために、よくある失敗例を知っておくことも有用です。ただし、多くの場合、適切な修正治療により改善が可能です。

注意

以下の失敗例は、過度に不安を煽るためではなく、ナチュラルデザインの重要性を理解していただくためのものです。経験豊富な医師のもとで適切に治療を受ければ、これらのリスクは最小限に抑えられます。

パンパンに膨らんだ頬

原因:過剰な注入量、または適切でない位置への注入

特徴:頬が不自然に丸く膨らみ、「リス」や「ハムスター」のような印象

対策:ヒアルロニダーゼで溶解し、適切な量を再注入

ソーセージのような唇

原因:唇への過剰な注入、または輪郭を無視した注入

特徴:唇が極端に厚く、横に長い「ソーセージ」のような形

対策:部分的に溶解し、自然な形に整える

左右非対称

原因:左右の注入量が異なる、または元々の左右差を考慮していない

特徴:明らかに左右でボリュームや形が異なる

対策:少ない方に追加注入、または多い方を部分的に溶解

凹凸・しこり

原因:浅すぎる注入、または一箇所に集中して注入

特徴:皮膚表面にボコボコとした凹凸が触れる、または見える

対策:マッサージで馴染ませる、または溶解して再注入

表情が硬い

原因:表情筋の動きを考慮しない注入

特徴:笑ったり話したりする際に、表情が不自然に硬い

対策:適切な深さと位置に再注入することで、表情の自然さを回復

これらの失敗は、多くの場合、修正可能です。ヒアルロニダーゼによる溶解や、適切な再注入により、自然な状態に戻すことができます。

ナチュラルデザインと価格の関係

安価なクリニックではナチュラルデザインが難しい理由

ナチュラルデザインを実現するには、以下のような要素が必要です。

  • 医師の高い技術と豊富な経験
  • 十分なカウンセリング時間
  • 段階的な注入と細かい調整
  • 質の高い製剤の使用
  • 適切なアフターフォロー

これらすべてには、相応のコストがかかります。極端に安価なクリニックでは、これらの要素を十分に提供することが難しい場合があります。

デザイン力への投資という考え方

ナチュラルデザインの治療費用は、「製剤への支払い」ではなく、「医師のデザイン力と技術への投資」と考えることができます。

同じ製剤を使用しても、医師のデザイン力によって結果は大きく異なります。自然で美しい仕上がりを実現できる医師の技術には、相応の価値があります。

時間をかけたカウンセリングの価値

ナチュラルデザインでは、カウンセリングに十分な時間をかけることが重要です。

患者様の希望を理解し、顔全体を診察し、最適なデザインを提案する──このプロセスには、30分〜1時間程度の時間が必要です。

流れ作業のように短時間で終わるカウンセリングでは、ナチュラルデザインは実現できません。

高い技術料の正当性

経験豊富な医師、特に美容医療の専門医は、長年の教育と訓練を受けています。

  • 医学部での6年間の教育
  • 初期研修・後期研修での臨床経験
  • 形成外科専門医などの専門資格取得
  • 美容医療の分野での継続的な学習と研鑽

こうした長年の積み重ねにより培われた技術とデザイン力には、相応の価値があります。

ナチュラルデザインの治療費用は、こうした医師の技術への正当な対価と考えることができます。

よくある質問(FAQ)

Q1. ナチュラルな仕上がりとは、具体的にどういうことですか?

A. ナチュラルな仕上がりとは、「治療を受けたことが分からない」「周囲から『何か若々しくなったね』と言われる」「顔全体が調和している」「表情を変えても違和感がない」といった状態を指します。特定の部位だけが目立つのではなく、顔全体として自然で美しい印象になることが、真のナチュラルデザインです。

Q2. どうすれば不自然にならずに済みますか?

A. 最も重要なのは、デザイン力のある経験豊富な医師を選ぶことです。また、カウンセリングで「ナチュラル」のイメージを具体的に共有すること、一度に大量に注入するのではなく段階的に進めること、医師の提案を信頼することも大切です。「もっと入れて」という要望を安易に受け入れる医師よりも、適切に「これ以上は不自然になります」と助言してくれる医師を選びましょう。

Q3. デザイン力のある医師はどう見極めればいいですか?

A. 症例写真の質と量、カウンセリングの丁寧さ、専門医資格の有無、経験年数などを総合的に判断します。特に症例写真では、仕上がりが自然で美しいか、様々な年代に対応しているか、複数の角度から撮影されているかなどを確認しましょう。また、カウンセリングで顔全体を見て総合的な提案をしてくれるか、リスクも正直に説明してくれるかも重要なポイントです。

Q4. 段階的な注入とは何ですか?

A. 一度に最終的な量を注入するのではなく、まず控えめに注入し、経過を見てから必要に応じて追加する方法です。初回は7〜8割程度の量にとどめ、2週間〜1ヶ月後に馴染んだ状態を見てから、必要であれば追加します。この方法により、「入れすぎた」という失敗を避けられ、より自然な仕上がりを実現できます。

Q5. 一度に入れすぎるとどうなりますか?

A. 一度に大量に注入すると、パンパンに膨らんだ不自然な印象になります。また、ヒアルロン酸は注入直後は腫れもあり、馴染むまでに時間がかかります。一度に入れすぎると、馴染んだ後も不自然なボリュームが残ってしまいます。万が一入れすぎた場合は、ヒアルロニダーゼで溶解することができますが、最初から適量を見極めることが重要です。

Q6. 自然な涙袋と不自然な涙袋の違いは?

A. 自然な涙袋は、目頭から目尻までの3分の2程度の範囲で、高さは2〜3mm程度の控えめなものです。笑ったときに自然に膨らみ、目の形に調和しています。不自然な涙袋は、ソーセージのように横に長く膨らんでいる、笑ったときだけ異様に膨らむ、涙袋の下に影ができるなどの特徴があります。

Q7. 唇はどのくらいの厚さが自然ですか?

A. 日本人女性の場合、上唇と下唇の比率が1:1.5程度で、全体として控えめなボリューム感が自然です。年齢や顔全体とのバランスも考慮する必要があります。極端に厚い唇や、「アヒル口」のような形は不自然に見えることが多いです。「ふっくら」と「厚すぎる」の境界線を見極めることが、医師のデザイン力の証です。

Q8. 年齢に応じたデザインとは?

A. 30代後半から50代後半の女性の場合、20代のような過度なボリュームではなく、年齢に応じた適度なボリューム感を目指します。疲れた印象や落ち込んだ印象を改善しつつも、成熟した女性らしい品格と知性を保つ──これが年齢に応じたナチュラルデザインです。若作りではなく、上品な若々しさを実現することが目標です。

Q9. カウンセリングで何を確認すべきですか?

A. まず、症例写真を見ながら「このくらいの仕上がりがナチュラルだと思う」と具体的なイメージを共有することが最重要です。また、医師が顔全体を見て総合的な提案をしてくれるか、リスクやデメリットも正直に説明してくれるか、患者の要望を鵜呑みにせず専門的視点から適切な助言をしてくれるかを確認しましょう。料金の明確な提示も重要です。

Q10. 症例写真のどこを見ればいいですか?

A. 仕上がりが自然で美しいか、顔全体のバランスが取れているか、年齢に応じた適切なボリューム感か、表情のある写真で自然さを確認できるか、様々な角度からの写真があるか、ビフォーアフターの撮影条件が統一されているかなどをチェックしましょう。特定の部位だけが浮いて見えたり、明らかに不自然な膨らみがある症例が多い場合は、注意が必要です。

Q11. ナチュラルデザインは高額ですか?

A. ナチュラルデザインを実現するには、医師の高い技術とデザイン力、十分なカウンセリング時間、段階的な注入と細かい調整が必要です。これらには相応のコストがかかるため、極端に安価な治療では実現が難しい場合があります。ただし、価格だけで判断して不自然な仕上がりになり修正治療を受けることを考えれば、最初から適切な医師のもとで治療を受ける方が、結果的に時間的にも経済的にも賢明な選択と言えます。

Q12. 失敗したら修正できますか?

A. はい、多くの場合、修正可能です。ヒアルロン酸にはヒアルロニダーゼという溶解酵素があり、入れすぎた場合や不自然な仕上がりになった場合は、溶解して元に戻したり、適切に再注入したりすることができます。ただし、修正にも時間と費用がかかりますので、最初から信頼できる医師のもとで治療を受けることが最も確実な「失敗を避ける方法」です。

まとめ

ヒアルロン酸治療において、最も重要なのは医師のデザイン力です。どんなに高品質な製剤を使用しても、デザイン力がなければ、自然な美しさは実現できません。

ナチュラルデザインとは、顔全体の調和、年齢との調和、表情との調和、骨格との調和を総合的に考慮し、その人本来の美しさを最大限に引き出すことです。部分的な視点ではなく、常に「顔全体」「その人らしさ」「年齢との調和」という視点を持つことが重要です。

30代後半から50代後半の女性にとって、目指すべきは「若作り」ではなく、「上品な若々しさ」です。年齢に応じた適度なボリューム感により、疲れた印象を払拭しつつも、成熟した女性らしい品格を保つ──これが、この年代にふさわしいナチュラルデザインです。

不自然な仕上がりを避けるためには、デザイン力のある経験豊富な医師を選ぶこと、カウンセリングで「ナチュラル」のイメージを具体的に共有すること、段階的な注入を行うことが重要です。

価格だけで判断するのではなく、「デザイン力」「技術力」「安全性」で選ぶことが、満足度の高い結果につながります。ナチュラルデザインを実現できる医師の技術には、相応の価値があります。

この記事が、ナチュラルデザインについて理解を深め、ご自身に合った治療を選択するための一助となれば幸いです。大切なのは、焦らず、正しい知識を持って、信頼できる医師のもとで納得のいく治療を受けることです。

あなた本来の美しさを、自然に引き出す──それこそが、ナチュラルデザインの真髄です。

この記事の監修者

藤井 靖成

藤井 靖成

大阪・梅田 藤井クリニック院長

総合内科内科専門医であると同時に消化器内視鏡専門医・指導医として従事。
胃がん大腸がんに対する内視鏡検査・手術を通して磨いた技術と豊富な経験を活かしながら、美容外科の技術も習得し約400,000例の美容外科施術経験を積む。また、皮膚額をベースとするスキンケア医療に取り組む。
「楽しく生きる」をコンセプトに、自身が理想とする医療を追い求めるため、2007年5月 大阪・梅田に「藤井クリニック」を開院。
開院以来、美容整形手術ではない、自然な綺麗さや若返りを目的としたメスを使わない美容医療を提供し、約20年間で180000例以上の実績を持つ。

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略歴

智弁学園和歌山中学・高等学校卒
和歌山県立医科大学卒(平成6年3月)
和歌山県立医科大学付属病院 第二内科学教室入局
日赤和歌山医療センター 麻酔科
国保日高総合病院 内視鏡室 室長
大手美容外科 勤務
亀田総合病院 研修
東京大学医学部付属病院 研修
藤井クリニック開院・院長就任(平成19年5月)
藤井クリニック大阪駅前開院(平成23年5月)


認定・所属学会

日本内科学会 認定医・専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本肝臓学会専門医
総合内科専門医
日本消化器がん検診学会 会員
日本超音波医学会 会員
日本美容外科学会 会員
日本美容外科医師会 会員
日本美容皮膚科学会 会員
日本抗加齢医学会 会員
日本抗加齢美容医療学会 会員
日本レーザー医学会 会員


認定資格一覧
  • サーマクール認定医
  • ウルセラ認定医
  • クールスカルプティング認定医
  • ライポソニックス認定医
  • レスチレーン認定医
  • マクロレーン認定医
  •  
  • アラガンバイクロス認定医
  • アラガンハイラクラス認定医
  • ボトックスビスタ認定医

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