公開日: 2026年07月03日
更新日: 2026年06月25日
ヒアルロン酸の種類と違い【保存版】ジュビダーム・レスチレン・クレヴィエルを徹底比較
目次
ヒアルロン酸注入のカウンセリングで「ジュビダームを使います」「この部位にはレスチレンの方が向いています」と説明を受けたとき、その違いを正確に理解できていたでしょうか。ヒアルロン酸は「ヒアルロン酸」という一つの素材でできているにもかかわらず、なぜブランドや製品によって価格も持続期間も仕上がりも異なるのか——この疑問を持ちながら情報を集めている方は多くいらっしゃいます。
ヒアルロン酸製剤の「違い」を生み出しているのは、主に「架橋(クロスリンク)の有無」「硬さ(G’値)」「粒子径・濃度」という3つの物性です。これらの物性の組み合わせが、持続期間・仕上がりの自然さ・向いている部位を決定します。そしてジュビダーム・レスチレン・クレヴィエルといったブランドの差は、この物性設計の違いによるものです。
この記事は、ヒアルロン酸製剤の種類と違いを3物性軸から体系的に整理し、主要ブランドの特徴比較・部位別の選び方まで解説する保存版図鑑です。カウンセリング前の知識整理にお役立てください。
ヒアルロン酸製剤の種類を決める3つの物性軸
「ヒアルロン酸」という素材自体は同じでも、製品によって特性が全く異なります。その違いを生み出しているのは主に以下の3つの物性です。この3軸を理解することが、製品選択の本質的な理解につながります。
① 架橋の有無——持続期間を決める最大の要因
ヒアルロン酸は本来、体内の酵素(ヒアルロニダーゼ)によって比較的速やかに分解されます。この分解速度を遅らせるために使用される技術が「架橋(クロスリンク)」です。
架橋剤(主にBDDE:ブタンジオールジグリシジルエーテル)を使って複数のヒアルロン酸分子を化学的に結合させることで、網目構造を作り分解されにくくします。この架橋の密度・方法の違いが、製品ごとの持続期間の差を生み出しています。
📋 架橋密度と持続期間の関係:
架橋密度が高い → 分解されにくい → 持続期間が長い傾向
架橋密度が低い / 非架橋 → 分解されやすい → 持続期間が短い傾向(ただし馴染みやすい・自然な仕上がり)
架橋の方法(モノフェイジック vs バイフェイジック等)も製品の特性に影響します。
② 硬さ(G’値)——リフトアップか自然な柔らかさか
G’値(貯蔵弾性率)は製剤の「硬さ・弾力性」を示す指標です。数値が高いほど硬く、形状を保持する力が強い製剤です。
- G’値が高い(硬い)製剤:鼻・あご・フェイスラインなど「形を作る・高さを出す」ことが目的の部位に向いています。形状保持力が高く、リフト効果が期待できます。
- G’値が低い(柔らかい)製剤:唇・涙袋・目の下・皮膚が薄い部位など「自然な柔らかさ・なじみやすさ」が求められる部位に向いています。表情の動きに追従しやすい特性があります。
③ 粒子径・濃度——注入層と仕上がりの滑らかさに影響する要素
製剤の粒子の大きさ(粒子径)とヒアルロン酸濃度(mg/mL)も製品の特性を決める重要な要素です。粒子径が小さい製剤は細かい部位への注入に向いており、表面が滑らかに仕上がりやすい傾向があります。粒子径が大きい製剤は深い層への注入に向いており、ボリュームアップ効果が期待できます。濃度が高いほど一般的に持続期間が長くなる傾向があります。
【ブランド別比較】主要ヒアルロン酸製剤の特徴と違い
ジュビダームシリーズ(アラガン社)
アッヴィ(旧アラガン)社が製造する世界的に広く使用されている製品シリーズです。VYCROSS技術(高分子・低分子ヒアルロン酸を組み合わせた独自の架橋技術)を採用したシリーズと、従来のHYLACROSS技術を採用したシリーズがあります。部位・目的に応じた豊富なラインナップが特徴です。
- ジュビダーム ウルトラ/ウルトラXC:中程度の硬さ。ほうれい線・マリオネットライン・頬のボリュームアップなど幅広い用途。XCはリドカイン(麻酔薬)配合で痛みを軽減。
- ジュビダーム ボリューマ:VYCROSS技術採用で高弾性。頬・こめかみなど深い層へのボリュームアップに向いており、持続期間が長い傾向。
- ジュビダーム ボルベラ(ボリフト):VYCROSS技術採用で柔らかく滑らか。唇・目の下・皮膚の薄い部位への注入に向いている。
- ジュビダーム ボリフト XC:中程度の硬さ。フェイスライン・あご・顎先等への使用に向いている製品。
レスチレンシリーズ(ガルデルマ社)
スウェーデン・ガルデルマ社の製品シリーズで、NASHA技術(Non-Animal Stabilized Hyaluronic Acid)を基盤とした架橋製剤です。動物由来成分を使用しない点が特徴のひとつです。
- レスチレン(スタンダード):中程度の硬さ。ほうれい線・眉間・額など顔の皺への使用に向いている。
- レスチレン リフト:硬めの製剤。頬・フェイスライン・あごのリフトアップ・深い皺への注入に向いている。
- レスチレン キス:柔らかい製剤。唇の形成・ボリュームアップに特化。
- レスチレン ボリューム:高弾性。頬・こめかみ等の深い層へのボリューム補充に向いている。
クレヴィエル(Croma社 / アラガン取り扱い)
非常に高い弾性(G’値が高い)と高粘度を特徴とする製剤です。鼻・あご・フェイスラインなど「骨格に近い深い層(骨膜上)」への注入に特化した製品として位置づけられています。通常のヒアルロン酸製剤よりも硬く、形状保持力が高いため、鼻筋の形成・あごのシャープ化・フェイスラインの輪郭形成といった「骨格的な変化」が期待できる部位に使用されます。他の部位(唇・皺など)には通常使用されません。
テオシアル(Teosyal)・その他の主要製剤
スイスのRevitacare社が製造するテオシアルシリーズも、豊富なラインナップを持つ製剤です。RHAシリーズ(Resilient Hyaluronic Acid)は表情の動きに追従しやすい柔軟な架橋技術を採用しており、表情豊かな部位(目周り・額等)への使用も想定した設計が特徴のひとつです。その他、国内では「ニューラミス」など複数のブランドが流通しています。
| ブランド/製品 | 硬さの目安 | 持続期間の目安 | 主な使用部位 | 特徴・ポイント |
|---|---|---|---|---|
| ジュビダーム ウルトラ/ウルトラXC | 中程度 | 6〜12ヶ月程度 | ほうれい線・マリオネットライン・頬(浅〜中間層) | 最も汎用性が高い。XCはリドカイン配合で痛み軽減 |
| ジュビダーム ボリューマ | 高弾性・やや硬め | 12〜24ヶ月程度 | 頬・こめかみ(深層)・ボリューム補充 | VYCROSS技術。持続性重視の深層ボリュームアップ |
| ジュビダーム ボルベラ | 柔らかめ | 6〜12ヶ月程度 | 唇・目の下・涙袋・皮膚の薄い部位 | VYCROSS技術で滑らか。唇に自然な柔らかさ |
| レスチレン リフト | 硬め | 12〜18ヶ月程度 | 頬・フェイスライン・あご(深層) | 形状保持力が高い。リフトアップ目的の深層注入 |
| レスチレン キス | 柔らかい | 6〜9ヶ月程度 | 唇専用 | 唇への注入に特化した柔らかい製剤 |
| クレヴィエル | 非常に硬い(高G’値) | 12〜24ヶ月程度 | 鼻・あご・フェイスライン(骨膜上・深層専用) | 骨格的な変化を目的とした最高弾性製剤。浅層不可 |
架橋ヒアルロン酸と非架橋ヒアルロン酸——根本的な違いを整理する
よく目にする「水光注射」や「スキンブースター」系の施術には「非架橋ヒアルロン酸」が使用されることがあります。架橋製剤との根本的な違いを整理します。
| 比較項目 | 架橋ヒアルロン酸 | 非架橋ヒアルロン酸 |
|---|---|---|
| 構造の特徴 | 複数のHA分子が化学的に結合された網目構造。ゲル状 | HA分子が結合されていない(フリー)状態。液状〜低粘度 |
| 持続期間の目安 | 6〜24ヶ月程度(製品による) | 1〜3ヶ月程度(分解されやすい) |
| 主な用途 | 形を作る・ボリュームを補充する・皺を改善する | 肌の保水力・ハリを改善する(肌質改善) |
| 吸収のしやすさ | 分解されにくい(架橋の密度による) | 体内の酵素で速やかに分解・吸収される |
| 代表的な製品例 | ジュビダーム・レスチレン・クレヴィエル等 | 水光注射・スキンブースター系(ジュビダーム ボライト等) |
| 向いている目的 | 輪郭形成・ボリューム補充・皺・凹みの改善(形態変化) | 保水力・弾力・ハリの改善(肌質改善) |
【部位別】どの種類のヒアルロン酸が向いているか
部位によって求められる製剤の特性が異なります。以下は一般的な傾向であり、実際の選定は担当医師の診察・技術力・目的に基づいて決定されます。
| 注入部位 | 求められる特性 | 向いている製剤の硬さ | 代表的な製品例 |
|---|---|---|---|
| 鼻(鼻筋・鼻先) | 形状保持・高さ・シャープさ | 硬い〜非常に硬い | クレヴィエル・レスチレン リフト |
| あご・顎先 | 形状保持・輪郭形成 | 硬い〜非常に硬い | クレヴィエル・ジュビダーム ボリフト |
| 頬・こめかみ(ボリューム) | ボリューム補充・リフト感 | 中〜高弾性 | ジュビダーム ボリューマ・レスチレン ボリューム |
| ほうれい線・マリオネットライン | 皺の改善・自然な仕上がり | 中程度 | ジュビダーム ウルトラ・レスチレン |
| 唇 | 柔らかさ・自然な動き・ボリューム | 柔らかい | ジュビダーム ボルベラ・レスチレン キス |
| 涙袋・目の下 | 薄い皮膚への馴染み・自然さ | 柔らかい〜非常に柔らかい | ジュビダーム ボルベラ・テオシアル系 |
| 肌質改善(全顔・保水) | 保水力・ハリの改善(形を作るのではない) | 非架橋(液状) | 水光注射・ボライト・スキンブースター系 |
製品の種類は医師が選ぶ——カウンセリングで確認すべきこと
「自分でジュビダームを指定できますか?」という質問をカウンセリングで受けることがあります。希望を伝えることは可能ですが、医学的根拠に基づかない一方的な製品指定は推奨されません。最終的な製品選定は、注入部位の解剖学的特性・組織の状態・目的・医師の技術力に基づく医学的判断です。
⚠ 「高い製品=良い製品」という誤解:クレヴィエルやジュビダーム ボリューマは確かに高価な製品ですが、「すべての部位に最適」ではありません。たとえばクレヴィエルを唇に注入することは適切ではありません。製品の優劣は絶対的なものではなく、「その部位・その目的に対して最適かどうか」によって決まります。
カウンセリングで確認すべきこと
- 「使用する製品の名前とブランド、その部位に選んだ理由を教えてください」
- 「この製品の持続期間の目安はどのくらいですか?」
- 「硬さの特性から、この部位への注入で自然な仕上がりになりますか?」
- 「過去にこの部位・この製品の組み合わせでの施術経験はありますか?」
- 「溶解(ヒアルロニダーゼ注射)が必要になった場合の対応はできますか?」
よくある質問(FAQ)
Q. ジュビダームとレスチレンはどちらが優れていますか?
どちらが優れているかではなく、「部位・目的・医師の技術力との相性」によって選ばれます。ジュビダームはVYCROSS技術による柔軟性と持続性、レスチレンはNASHA技術による硬さと形状保持力が特徴とされています。同じ目的であっても医師の経験・慣れた製品を使う方が良好な結果が得られることもあります。
Q. 硬いヒアルロン酸と柔らかいヒアルロン酸はどう使い分けるのですか?
硬い製剤(高G’値)は「形を作る・高さを出す」部位(鼻・あご・フェイスライン等)に向いており、柔らかい製剤(低G’値)は「自然な柔らかさ・表情への追従」が求められる部位(唇・目の下・涙袋等)に向いています。部位と目的に合わせた硬さの選択が自然な仕上がりの鍵です。
Q. 架橋ヒアルロン酸と非架橋ヒアルロン酸の違いは何ですか?
架橋製剤は分子を化学的に結合させた構造でゲル状・長持ちし、「形を作る・ボリュームアップ・皺を改善する」目的に使用されます。非架橋製剤は液状で分解されやすく持続期間は短いですが、肌の保水力・ハリを改善する「肌質改善」目的(水光注射等)に使用されます。目的が全く異なります。
Q. 製品を自分で指定することはできますか?
希望を伝えることは可能ですが、医学的根拠のない一方的な製品指定は推奨されません。最終的な選定は部位の解剖学的特性・目的・医師の技術力に基づく医学的判断です。「なぜこの製品を選んだか」を医師に確認し納得したうえで決定することが重要です。
Q. 部位によって使う製品が変わる理由は何ですか?
各部位の皮膚の厚さ・組織の性質・求められる変化(形を作る/柔らかさを出す/保水)が異なるためです。たとえば唇に硬い製剤を使うと不自然な感触・見た目になり、鼻に柔らかい製剤を使うと形が保てません。部位に合わせた製剤の硬さ・粒子径の選択が仕上がりの自然さに直結します。
Q. ヒアルロン酸の種類によって持続期間は変わりますか?
大きく変わります。架橋の密度・製剤の濃度・G’値・注入部位(よく動く部位は吸収が早い傾向)によって6ヶ月〜24ヶ月程度まで幅があります。一般的に、架橋密度が高く濃度が高い製品(ジュビダーム ボリューマ・クレヴィエル等)は持続しやすい傾向があります。
Q. 高価なヒアルロン酸製剤ほど効果が高いのですか?
必ずしもそうではありません。高価な製剤(クレヴィエル・ジュビダーム ボリューマ等)は特定の部位・目的に優れた特性を持ちますが、すべての部位に最適ではありません。製剤の価格よりも「その部位・目的に適しているか」「医師がその製品を使いこなす技術力があるか」の方が結果に影響します。
Q. ヒアルロン酸の種類によってアレルギーや副作用は変わりますか?
製品によって架橋剤(BDDE)の使用量や濃度が異なるため、理論的には若干の違いがある可能性があります。ただし現在主流の製品はすべて生体適合性が高い素材であり、アレルギー反応はまれとされています。一方で、注入技術・注入層の誤りによるリスク(血管塞栓等)はどの製品でも起こりえます。
Q. クレヴィエルは他のヒアルロン酸と何が違いますか?
クレヴィエルは現在市場にある製剤の中でも最高クラスのG’値(硬さ)と粘度を持ちます。骨膜上(骨のすぐ上)に注入することを前提とした設計であり、鼻・あご・フェイスラインへの輪郭形成に特化しています。他の製品よりも硬いため、浅い層への注入は適さず、医師の深い解剖知識・技術力が特に求められる製品です。
Q. 注入後にヒアルロン酸の種類を変えることはできますか?
前回の製剤が吸収されてから、あるいはヒアルロニダーゼ(溶解注射)で前回分を溶かしてから異なる製品を注入することは可能です。ただし前回の製剤が残存している状態で異なる製品を追加注入する場合は、リスクが高まることがあります。担当医師との相談が必要です。
Q. 非架橋ヒアルロン酸(水光注射等)と架橋製剤の使い分けは何ですか?
非架橋製剤は「肌の保水力・ハリ・弾力の改善(肌質改善)」を目的とし、液状で皮膚全体に広がります。持続期間は1〜3ヶ月程度と短い傾向があります。架橋製剤は「形を作る・ボリュームを補充する・皺を改善する」目的に使用され、ゲル状で注入部位に留まります。目的が根本的に異なるため、両者を組み合わせる施術も行われることがあります。
Q. 妊娠中・授乳中でも施術を受けられますか?
妊娠中・授乳中の方は、使用する薬剤(麻酔・架橋剤等)の胎児・乳児への影響を考慮し、基本的に施術を避けることが推奨されています。詳しくは担当の産科医・婦人科医にご相談のうえ、美容クリニックでも確認してください。
まとめ
ヒアルロン酸製剤の種類と違いは、①架橋の有無(持続期間)②硬さ・G’値(形状保持力vs柔らかさ)③粒子径・濃度(注入層・仕上がり)という3つの物性軸によって生まれます。ジュビダーム・レスチレン・クレヴィエルといったブランドの差は、この物性設計の違いであり、「どのブランドが優れているか」ではなく「どの部位・目的に向いているか」という観点で理解することが重要です。
製品の最終選定は担当医師の診察・技術力・目的に基づく医学的判断です。カウンセリングで「使用製品名・その部位に選んだ理由・持続期間の目安」を確認することが、納得のいく施術選択につながります。
フジイクリニック梅田では、複数のブランド・種類のヒアルロン酸製剤を取り扱い、各部位の解剖学的特性と目的に合わせた最適な製品選定と注入技術をご提供しています。「どの種類が自分に向いているか相談したい」という方は、ぜひお気軽にカウンセリングにてご相談ください。



